俳優妻夫木聡(43)、渡辺謙(64)が、テレビ東京開局60周年特別企画ドラマスペシャル「生きとし生けるもの」(5月6日午後8時)に主演している。人生に悩む主治医と、余命宣告された患者が、バイクで旅をしながら「人は何のために生きるのか」を模索するロードムービー。

余命3カ月の患者役を演じる渡辺は、89年に急性骨髄性白血病、16年に早期の胃がんを患った自らの体験から、「医療モノはほとんどお断りしてきた」と明かす。「医療にかかわるものって、本当の苦しさとか悩みとか、ドラマで描けるのかという思いが僕の中にずっとあって」。

出演を決めたのは、脚本を手がけた北川悦吏子氏とのメールのやりとりだったという。

北川氏も、病と向き合いながら執筆活動を続けてきた1人。渡辺は「患者の思いや、苦しいだけではない喜びや幸せみたいなことを置き手紙として書きたいと言われて、参加させていただいた」。

役作りのため、7キロの減量も行った。「生きるって、瞬間の積み重ね。北川さんも、小さな幸せを日々見つけて生きていらっしゃるんだろうと思う。さまつな日々の中の幸せというものは多分誰にもあって、このドラマの中でたくさん描かれている」。

あることをきっかけにメスを握れなくなった主治医を演じる妻夫木は、作品について「少しファンタジックでもあるが、こういう世界があったらいいなと思わせてくれる世界観。うそを真実にしてもいいんじゃないかと思わせる力をくれる」。また「『今を生きる』って、昔はちょっと臭いなと思っていましたが、家族のために生きているんだとはっきり感じるようになった今は、一分一秒生きていくことがとても大事で貴重。作品を通じ、より一層その思いが深くなった」と話している。