女優高畑淳子(61)が故森光子さんの代表的な舞台「雪まろげ」を継承し、来年9、10月(9月24、25日=東京・北千住シアター1010、9月28日~10月19日=日比谷シアタークリエ)で上演されることが25日、分かった。

 「雪まろげ」は芸者夢子が場を盛り上げるためについたウソが騒動を起こす喜劇で、1980年に初演され上演回数は471回。森さんにとって、仲間由紀恵が引き継いだ「放浪記」、藤山直美が継承した「おもろい女」に続く代表作だった「雪まろげ」は高畑に白羽の矢が立った。高畑は「森さんにかわいがっていただいたので、(依頼は)うれしかったし、ぜひやりたいと思いました」。

 高畑は98年に舞台「本郷菊富士ホテル」で森さんと初共演した。「ご飯を食べる場面で、ご飯粒を2、3粒だけ森さんに飛ばすところを、20粒、30粒も森さんの顔に飛ばしてしまった。それでも、森さんは嫌な顔一つしなかった」。08年には「放浪記」でライバル役で共演した。「生き神様とやっているという思いがあった。『放浪記』での共演は私の最大の誇りです」。

 その時は正月公演で、森さんは楽屋に来た高畑の2人の子供にお年玉をあげた。「そのポチ袋はお守りとしていつも財布に入れています。森さんは41歳で『放浪記』に主演した遅咲きでしたが、私も同じ遅咲きの人間。森さんから教わったことを忘れないようにしたいし、森さんにあやかって長く舞台に立っていたい」。

 芸者役の経験はあるが、「私は似合わないの。おかまみたいになっちゃって」と苦笑する。森さんが主演した「雪まろげ」のビデオは見ないという。「大好きだから、コピーにならないようにしたい。見るとしても、稽古がすべて終わってからに」と話した。【林尚之】