HTB制作のバラエティー番組「水曜どうでしょう」の勢いは、一向に衰える気配がない。1996年(平8)10月放送開始。“生誕”20年目の今年9月には、DVD23作品の累計出荷数が400万本を突破した。番組を担当する同局の藤村忠寿ディレクター(50)は「そろそろ新作を」と話しており、鈴井貴之(53)大泉洋(42)が中心の珍道中は、ファンの期待を裏切らない長寿番組となりそうだ。

 新作間近!? 「水どう」で鈴井、大泉に「藤村君」と呼ばれる藤村ディレクターが、新作の構想を明かした。「前回アフリカ編から2年がたったので、そろそろかな、と」。中心メンバーの大泉は今や全国区の俳優となり、来年はNHKの大河ドラマ「真田丸」が控えているが「大泉君のスケジュールの問題で『水曜どうでしょう』をやらないということはありえない」。そして「俺たちがどうしてもやりたい時に大泉君に東京の仕事があったら、東京の仕事をどけるだけ」と続けた。番組ファンの1人として、新作は待ち遠しい。大泉に「おいヒゲ!」と、罵倒されないことを祈るだけだ。

 「水どう」とは!? 「プロの(芸人の)笑いに勝つためには、ハプニングが一番。(出演者は)素人でも誰でもいいだろう」という藤村Dの思惑で、当時学生で、別番組に出演していた大泉を抜てき。出演者は大泉と鈴井の基本2人で、国内外を旅する珍道中がローカル放送された。同行するのは“出演者”も兼ねる藤村Dと嬉野雅道カメラマン兼ディレクター(56)だけで、大泉の出演料は「おそらくアルバイト程度の額」(藤村D)。制作費は、とんでもなく安価だったという。

 DVD大ヒット!? 未放送映像を加えるなどの工夫もあり、累計出荷数は400万本を突破した。9月16日発売の23作目「対決列島~甘いもの国盗り物語~」は、発売初週に7・4万枚を売り上げ、オリコン週間総合DVDランクで初登場首位を獲得。他ジャンルも含めた総合首位獲得は4作連続で、通算9作品。「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで」(日本テレビ)や「人志松本のすべらない話」(フジテレビ)でも総合首位獲得は6作品。人気ぶりがうかがえる。

 もうかってる!? 現在も全国17局で放送中で、放送権料が発生している。HTBで再放送中の「水曜どうでしょうクラシック」は、広告収入に貢献。まだDVD化されていない旅が6作品ほどあり、累計出荷数500万本突破も現実味を帯びてきた。自社制作番組のDVD化は通常、定価の半分近くがテレビ局に入るとされており、500万本となれば「4298円÷2×500万本」で100億円突破となる。藤村Dは「ローカル局としては異例の事態。局も扱いに困っているんじゃないでしょうか」と話している。【取材・構成=中島洋尚】