「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」などの妖怪漫画で知られる、漫画家の水木しげる(みずき・しげる)さん(本名・武良茂=むら・しげる)が11月30日午前7時18分、多臓器不全のため、東京・三鷹市内の病院で死去した。93歳だった。

 水木さんの突然の訃報に、水木さんが幼少期を過ごし、「水木しげるロード」などの観光地として知られる出身地の鳥取県境港市でもこの日、驚きと、故人を惜しむ声が上がった。

 妖怪像が並ぶ観光名所「水木しげるロード」などがある市観光協会の枡田知身会長(74)は「急な訃報に驚いている。100歳まで生きられると思っていた」と落胆を隠せなかった。ロードは年間200万人以上が訪れる観光名所となっており、「ロードのリニューアル企画が進んでいた時で、本当に残念。無尽蔵に企画が出せるような、特別な世界観をお持ちの方だった」と惜しんだ。

 同市にある「水木しげる記念館」の庄司行男館長(59)も「信じられない」を繰り返した。午前中から問い合わせが殺到したが、「誤報です、と返答していました。これまで何度も死亡説が流れたことがあったので、今回も本当とは思えなかった」と答えた。

 水木さんの最後の里帰りは今年9月だった。地元テレビ局の番組収録で3日間、島根と鳥取に滞在した。庄司さんは「海が見えるご実家の前で、博物学者で妖怪評論家の荒俣宏先生と対談をされました。車いすだったけれど、元気そうでした。付き添った娘さんも『食欲もあって、東京にいるよりも元気で安心した』と話していました。血色も良くて会話も弾み、お元気だったのに…」とショックを受けていた。

 水木さんの訃報は、地元には衝撃をもたらした。日本海新聞、山陰中央新報の地元2紙は号外を発行。水木ロードなどで配られた。