俳優松山ケンイチ(30)主演映画「の・ようなもの のようなもの」(来年1月16日公開、杉山泰一監督)の公開前イベントが20日、東京・新宿の末広亭で行われ、松山と共演の北川景子(29)らが和服姿で登壇した。

 脱サラして落語家に転身した男(松山)と、かつての兄弟子(伊藤克信)との奇妙な共同生活や、師匠の娘(北川)との恋模様などを描いた「落語青春映画」。81年に故森田芳光監督がメガホンをとり公開された「の・ようなもの」の後日談的作品で、森田さんの命日であるこの日に合わせてイベントが行われた。

 松山、北川とも客の前で高座に上がるのは初めて。松山は「この作品に入っている最中は、客席で見たことはあったけど、こっち(高座)側で見ると、広く見えて怖い。おもしろいことを言わなくちゃいけないと思って、どんどん緊張してきて、汗をかきます」と苦笑いした。

 松山は、この日イベントの司会を務めた古今亭志ん丸に落語の指導を受けた。「不安だったんですけど、見ていただいたら、『いいんじゃないですか、それで』と言われた。それが逆に怖くて、結局は自分次第なんだなと思って、すごく練習しました。変に言われていたら、調子に乗っていたかもしれない」。逆に緊張感が切れずに稽古ができたことを感謝し、「もし子供が習い事をしたら、そういう風に指導していきたい」と話していた。

 北川はその様子を近くで見ていたといい、松山の役作りに感動していた。「本物の落語家さんみたいだった。落語のシーンは10分ぐらいの長回しで、撮影の直前は私と世間話をしていた。大丈夫かなと思っていたら、上がったら憑依(ひょうい)したみたいに小さな男の子からお父さんの役まで、全部1人で演じていた。たくさん練習されたんだな」と感心していた。

 イベントでは「の・ようなもの」にかけた大喜利が行われた。松山、北川ともきれいに決めて笑いを取り、ほっとした表情を見せていた。

 ほか伊藤、杉山監督が登壇した。