国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の特使を務める米女優アンジェリーナ・ジョリー(40)が16日、シリアからの難民が多数押し寄せているギリシャを訪れ、約4000人の難民が野宿するアテネ近郊のピレウス港などを視察した。

 同国に足止めされ、劣悪な環境で暮らすシリア難民の窮状を国際社会に訴えることが目的で、ジョリーを一目見ようと多くの難民が集まり、拍手と歓声が湧き上がった。涙ぐむ男の子を強く抱きしめ、「強く生きて」と激励する場面もあったという。隣国マケドニアなどバルカン諸国が難民の入国を制限したため、4万人以上がギリシャ国内に滞留していると言われている。

 ヨーロッパ各国が難民の受け入れに難色を示す中、「UNHCR、ギリシャ政府と協力して人道状況の悪化に対する緊急対応を促進するためにここに来た」とジョリー。状況の改善に尽力するよう世論に訴えた。

 ジョリーは前日にはレバノンにあるシリア難民キャンプも訪れ、集まった記者たちを前に長年続く内紛の犠牲となり故郷を追われた何百人ものシリア難民を救済するよう世界各国の政府に呼びかけていた。(ロサンゼルス=千歳香奈子)