安倍晋三首相が参院選公示を前にしたテレビ朝日の番組収録で、終了予定時刻をオーバーしたことを局に抗議した件について、脳科学者の茂木健一郎氏が「政治コメディの伝統があったら、格好のネタ」として、日本のメディアが笑いとしてあつかわないことを残念がった。

 安倍首相は21日に行われた番組収録で終了予定時刻が超過したことを、「時間をちゃんと守ってもらわないと困る。飛行機に1分遅れただけで、明日行けなくなる」などと、テレビ朝日側の司会者ら出演者に抗議した。

 茂木氏は22日にツイッターで、「まあね、首相にとっての1分は、それは、それは、本当に、貴重なものなんだろうと思うよ」と理解を示したが、「安倍さんが、収録で1分押したというので、怒って、席を立たれてしまった件、日本にDaily ShowやSaturday Night Liveのような政治コメディの伝統があったら、格好のネタになっていたでしょう」と米国の政治風刺番組を引き合いに出し、今回の安倍首相の振る舞いは笑いのネタになったと指摘した。

 茂木氏は「政治コメディは、民主主義の重要なインフラ」だとし、日本の地上波を中心とする「お笑い」が安全圏のネタをあつかっていないと指摘。「だから、民主主義も、成熟しない。メディアに勇気と心意気がない。残念」とつづった。