V6岡田准一(35)が大作映画「関ケ原」(原田真人監督、17年秋公開)に主演する。計算高い男として敵役として描かれることの多い安土桃山時代の武将・石田三成に、別の角度からスポットを当てた作品。中学生の時に司馬遼太郎の同名原作を読んだという「歴男」の岡田は、「本来の人物像に近い三成がうれしい」と意欲をのぞかせる。今月中旬から撮影に入る。

 14年のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」に主演した岡田は、今回の三成役に当初複雑な思いがあった。今作の鍋島寿夫プロデューサーには「ドラマでは(黒田官兵衛役)として、ずいぶん三成をいじめちゃいましたからねえ」と明かした。

 放送中のNHK大河「真田丸」でも、山本耕史(39)ふんする三成は木で鼻をくくったような悪役キャラだ。一転、司馬遼太郎原作の「関ケ原」では、正義を信じ、愛を貫き通す「純粋すぎる武将」として描かれている。映画「蜩ノ記」(14年)など多くの時代劇に出演、歴史好きとして知られる岡田は「司馬先生の書かれた三成公は本来の人物像に一番近いであろうと感じています。『融通がきかぬが義を重んじ貫いた男』と思っています」と三成の名誉回復にひと役買う決意だ。

 敵役となる徳川家康には役所広司(60)。「人生最大の大ばくちに挑み、勝利するまでの心の動き、今からワクワクしています」と「蜩ノ記」に続く岡田との共演を楽しみにしている。

 三成の腰元で伊賀の忍者でもある、ヒロイン初芽役には有村架純(23)がふんし、時代劇に初挑戦する。「女を忘れ、しっかりと役目を果たしたいなと思います」と決意を語る。この1カ月、言葉遣いや所作、そして忍者特有の殺陣の特訓を受けている。

 映画は今月中旬クランクイン。滋賀、京都などを中心に国宝級の城や神社仏閣でもロケを行う。クライマックスの合戦シーンでは約4000人のエキストラや300頭の馬を集め、CGも駆使して東西合わせて15万の軍勢の激突を再現する。

 ◆関ケ原 原作は司馬遼太郎が1964年から週刊誌に連載。66年に単行本として発売された。累計発行部数は585万部を超えている。1600年(慶長5)10月21日、徳川家康率いる「東軍」と石田三成中心の「西軍」による、天下分け目の決戦と言われた関ケ原の戦いはたった6時間で決着する。映画は豊臣秀吉の死後、天下取りに動く家康と、豊臣家への忠義から立ち上がる三成を対照的に描き、圧倒的に有利と言われた西軍が破れた裏側を解き明かす。三成を命をかけて守る初芽との「淡い恋」も見どころになっている。