歌舞伎俳優の中村雀右衛門(じゃくえもん=60)が10日、京都市内で行われた年末恒例の歌舞伎公演「吉例顔見世(きちれいかおみせ)興行」の製作発表に出席した。同公演は5代目中村雀右衛門の襲名披露を兼ねて行われる。

 例年会場として使用している京都・南座(京都市東山区)が耐震改修工事中のため、今年は先斗町歌舞練場(京都市中京区)で開催される。会見前に先斗町歌舞練場を見学してきたいう雀右衛門は「とてもお客様との距離感が近い。身近にお客様を感じることができる場所で襲名させていただけるのはうれしい。ワクワクしています」と、イレギュラー開催にも声を弾ませた。

 京都・南座以外での開催は、改修のために祇園甲部歌舞練場(同市東山区)に会場を移した1990年以来26年ぶり。先斗町歌舞練場での開催は初めてとなる。

 この日は出演者と演目も発表され、片岡愛之助、市川海老蔵ら豪華な顔ぶれがそろった。顔見世としては初の3部制となり、第1部は「実盛物語」「道行旅路の嫁入」、第2部は「車引」「吉田屋」「三升曲輪傘売」、第3部は「引窓」「京鹿子娘道成寺」。各部とも劇中で襲名の「口上」がある。

 出演俳優の名前を書き入れた看板を劇場正面に掲げる「まねき上げ」は、例年通り南座で行う。公演は11月30日~12月25日まで。