渡哲也(74)が15日、遠縁の親戚にあたる錦織圭(26)がリオデジャネイロ五輪男子テニスのシングルスで銅メダルを獲得した快挙を祝福した。日本人の同種目でのメダル獲得は96年ぶりで、大いに勇気づけられたという。

 錦織の雄姿をテレビのニュースなどで見て、快挙を知ると、「銅メダル獲得、本当におめでとうございます。オリンピックという大舞台で見せた闘志、最後まであきらめない心の強さに勇気と元気をもらいました。これからも応援しています」と祝福した。昨年6月に急性心筋梗塞で手術を受け、現在リハビリを続けており、錦織の活躍はことのほかうれしかったようだ。

 錦織と血縁関係にあることを知ったのは08年北京五輪前。初の五輪出場を決めた錦織の母方の親戚筋から手紙が届いた。2人が遠縁の親戚にあたることの説明、簡単な家系図、五輪出場が決まった報告が記してあった。もともとテニス選手に詳しくなく、錦織についても「『にしこり』と読むなんて珍しいな」と思ったくらいだった。親戚と知って親近感を持ち「機会があればぜひお会いしたいですね。オリンピックという晴れ舞台ですから、悔いの残らないように思う存分、自分が納得できるプレーをしてほしい」と、最大限のエールを送った。

 当時の錦織は世界ランキング124位。1回戦で敗退したが、第2セットをゲームカウント0-5から奪う驚異的な粘りを見せるなど善戦した。

 錦織との初対面は4年後、12年11月にやってきた。都内で行われたチャリティーテニス大会に、錦織が渡を招待し、控室で握手を交わした。錦織は3カ月前のロンドン五輪でベスト8に進出しており、大きく成長していた。渡は「あなたは精神的に強いんだね」などと13歳から米国に渡った錦織に感心しきりだった。錦織は後日「感動しました。オーラがすごかったです」と初対面を振り返った。

 錦織はその後、世界ランキングを最高4位まで上げ、全米オープン準優勝など成長し続けている。陰ながら見守ってきた渡は、銅メダル獲得の喜びを静かにかみしめている。