黒沢明監督の代表作「七人の侍」が62年ぶりに最新のデジタルリマスター版としてよみがえることになり、13日、都内で特別試写会が行われた。

 黒沢監督が88歳でなくなってから18年。記録係(スクリプター)としてスタッフの中心にいた野上照代さん(89)は「あまりにキレイな仕上がりに泣いちゃった。黒沢さんが見たらすごく喜ぶと思う」と感慨深げ。主要キャストもほとんど亡くなってしまったが「(フィルムは)何度も焼き直されたから、三船(敏郎)ちゃんのセリフが悪い、聞き取れないなんて言われていたけど、今回はとても良く聞こえた。三船ちゃんにも聞かせてあげたい」と、セリフ回しが不評だった三船さんを思いやった。

 この作品が映画初出演となった仲代達矢(83)は「通り過ぎる浪人役でたった2秒の出演だったけど、生まれて初めてちょんまげを結いました。監督は『何だ、あいつの歩き方は』と怒っていたみたいで、撮影が始まってからOKが出るまで6時間掛かった。歩き方があんなに難しいとは思わなかった」と厳しかった黒沢演出を振り返った。

 「七人の侍」のリマスター版は10月8日から「午前十時の映画祭7」で上映される。