なかにし礼氏(78)の作詞・作家生活50周年記念アルバム「なかにし礼と13人の女優たち」(日本コロムビア)が28日に発売される。同氏のヒット作などを歌唱・朗読するシリーズ第2弾。前作と同じ12人に加え、新たに浅野ゆう子(56)が参加した。19年ぶりのレコーディングで、伊東ゆかりの「あなたしか見えない」を歌唱する。

 トレンディードラマ「抱きしめたい!」など、80~90年代に大ヒットした番組の印象から女優のイメージが強い浅野だが、芸能界デビューはアイドル歌手だった。1974年(昭49)、「とびだせ初恋」を歌唱した時は13歳。同年の日本レコード大賞を獲得し、91年までにシングル20枚、アルバム11枚を発売。だが、やがて活動の軸足を歌手から女優に移していき、最後のレコーディングは97年。女優田中美佐子(56)とのユニット、Jelly beansとして発売した「DAY TO DAY」だった。

 浅野はなかにし氏の小説「てるてる坊主の照子さん」が原作のNHK朝の連続テレビ小説「てるてる家族」でヒロインの母親を演じた。「私の大きな宝物となった作品。今回は本当に照れくさく、私で大丈夫なのかという戸惑いもありましたが、歌詞を大切に…と心して臨みました」とレコーディングを振り返った。

 ほかにも泉ピン子(69)が北島三郎の「まつり」、桃井かおり(65)が細川たかしの「心のこり」を歌唱するなど“組み合わせの妙”も魅力だ。

 ◆桃井かおり(65) ロスで5日間くらい練習しました。ブースに入ると緊張してしまう。少々の「心のこり」は残りますが精いっぱいです。

 ▼なかにし氏 演技のうまさは言うまでもないが、歌のうまさたるやものすごい。もう自由自在だ。

 ◆南野陽子(49) いしだあゆみさんの歌は帝劇でひと夏、「ブルーライトヨコハマ」を歌ったことがありますが、今回は「いしだあゆみ役」ではなく、南野陽子として歌いました。

 ▼なかにし氏 この歌がこんなに似合う人はナンノ以外にいない。

 ◆高島礼子(52) 歌は聞くものだと思っていましたが、この企画をきっかけに歌う楽しみを全身で感じることができました。

 ▼なかにし氏 「いい人に見られたい」という邪心があっては歌えない曲だが、いつも誠実な彼女が楽しむように演じている。

 ◆常盤貴子(44) 夢がある企画です。レコーディングは相変わらず緊張でしたが、すごく楽しい時間でした。

 ▼なかにし氏 若さと純情、清潔感と透明感、処女性、素直さ、寛容と自由…、見事にこの歌に新しい生命を吹き込んだ。

 ◆佐久間良子(77) テープをいただき、家で聞いて、先生のご指示のもとレコーディングをしましたが、自分では満足していません。

 ▼なかにし氏 佐久間さんの語りは絶品で、このたびはその語りを存分に生かしてもらった。

 ◆浅丘ルリ子(76) 新鮮さがなくなっちゃうから練習をせず、レコーディングで初めてちゃんと歌いました。

 ▼なかにし氏 女優は歌詞を芝居のせりふとしてとらえ、わがものとすることをルリ子さんのこの歌で再確認した。

 ◆平淑恵(61) 今回はボイストレーニングをしました。前回同様、色気がないとのご指摘でしたが貴重な経験をさせていただきました。

 ▼なかにし氏 輝くような美声、美しい日本語、表現力。平さんのこの歌は一人芝居を見るかのようだ。

 ◆草笛光子(82) 音楽ではなく、音“苦”の私に新しく訳詞をしてくださったので恐る恐る、参加させていただきました。

 ▼なかにし氏 草笛さんのために「バラ色の人生」の訳詞をしてささげた。古きシャンソンがものの見事に現代の歌になった。

 ◆浅野ゆう子(56) 大好きで聞いていた「あなたしか見えない」を生意気にもリクエストさせていただきました。

 ▼なかにし氏 参加をお願いしたら快諾で、この歌を歌いたいと言う。何とうれしいことではないか。歌いっぷりがすてきだった。

 ◆水谷八重子(77) 「北酒場」を歌え!って…。私の最も苦手な演歌をどう料理していただけましたでしょうか。

 ▼なかにし氏 この歌を入れたいと思った。歌える人はこの人しかいないと思った。で、お願いした。ずばり的中ではないか。

 ◆泉ピン子(69) 北島さん宅にお電話をして「歌わせていただきます」と伝えました。練習して練習して悔いなし…です。

 ▼なかにし氏 北島さんの指導まで受けたという。がぜんうまくなった。声の張りといい日本語の美しさといい文句なし。

 ◆大竹しのぶ(59) 歌いたい曲がたくさんあるので選曲はお任せしました。ピアノ、ベース、ドラムと一緒にレコーディングができて最高のぜいたくでした。楽しかったです。

 ▼なかにし氏 私がシャンソンにどっぷり漬かっていた若き日の作品である。

 ◆黒柳徹子(83) なかにし先生の本当の心を読み上げるので、とても緊張しました。

 ▼なかにし氏 佐藤しのぶが歌った「リメンバー」を背景に、反戦詩「平和の申し子たちへ」を全編朗読してくれた。このアルバムの白眉である。

 ◆なかにし礼(れい)本名・中西礼三。1938年(昭13)9月2日、旧満州(現中国・黒竜江省牡丹江市)生まれ。立大文学部仏文科卒。作詞家として「天使の誘惑」「今日でお別れ」「北酒場」で日本レコード大賞を3度受賞。作家としても98年に「兄弟」がヒット、00年「長崎ぶらぶら節」で直木賞。15年発売のアルバム「なかにし礼と12人の女優たち」は4万枚を超えるヒットになった。