NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK総合午前8時)の29日の平均視聴22・8%(関東地区)だったことが30日、ビデオリサーチの調べで分かった。

 いよいよ放送は、30日と10月1日の2回となった。

 これまでの最高は8月17日で常子(高畑充希)が、かつて帝大生で常子にプロポーズした星野武蔵(坂口健太郎)と再会するドラマチックな展開が25・9%を記録した。最低は8月6日で、放送時間が変わった影響もあり、18%だった。

 29日の回は、花山伊佐次(唐沢寿明)の自宅を訪れた常子。花山はベッドに寝ながら、口述筆記をしていた。

 原稿が終わり常子が帰ろうとすると「もう一つ書いてくれないか」と花山が言う。

 「あとがき」だった。花山は「僕が死んだらその号のあとがきに載せてくれ」と言った。

 「あなたの暮らしは庶民の旗をたてた。その旗をたてさせてくれたのは一冊一冊を購入してくださった読者の皆さんだ。力いっぱい雑誌を作らせてくれてありがとうございます」。「あなたの暮らし」を支えてくれた読者に対する感謝の言葉だった。

 常子の目からひと筋の涙がこぼれた。「花山さんが死んだら私はどうしたらいいのでしょうか…」花山は「大丈夫だ」という。27年間一緒に仕事をしてきて、花山と常子は、ほぼ同じ考えを持っている。「もし、迷うことがあったら肩にかたりかけなさい。『花山、どうしたもんじゃろのう』と。僕が宿ってあげるから」。

 常子が帰ろうと玄関にいると、花山が次号の表紙の絵を持って、ベッドから起きて見送りにきた。かわいらしい女性の絵だった。

 そして「常子さん、ありがとう」と感謝の言葉を述べた。花山が満足そうな笑みを浮かべながら手を振る。その姿を見ながら、ゆっくり玄関のドアが閉まっていく。外は雪、という名場面だった。