今年1月に亡くなった3代目桂春団治さん(享年85)の一周忌追善興行が来年1月に大阪市内各地で行われることになり、11日、発表された。

 発表に先立ち、弟子の桂福団治(76)春之輔(68)春若(65)小春団治(58)春雨(52)が会見。その偉大さ、名跡の重さをあらためて痛感する1年だったと語った。

 筆頭弟子の福団治は「つねに上から師匠に見られているような感覚の日々です。(筆頭弟子として)師匠の顔に泥を塗るような芸は絶対できんと、あらためてその思いが強くなりました」と、1年を振り返った。

 昨年3月には、桂米朝さんも亡くなっており、6代目笑福亭松鶴さん、5代目桂文枝さんとともに、戦後の上方落語を復興させた四天王全員が鬼籍に入った。今年は上方四天王を顕彰する映像作品や、興行も多く、春団治一門のはなし家にとっても、名跡の大きさを再認識させられたようだ。

 今春、毎年恒例の春団治まつりが開かれた際には「4代目襲名」の話題もあがっていたが、時が流れるごとに重みが増している模様。小春団治は「師匠が亡くなる前は、弟子もこぞって冗談で『4代目はおれ』みたいに言うてましたが、逆に今は言えませんわ」と言い、現況を「地球に住んでたら地球の大きさは分からんけど、宇宙に出て初めて、地球の大きさが分かるようなもん」と表現した。

 さらに「もう、ここまできたらね、4代目継ぐ言う人、病気なるんちゃうか? と。うかつに継げませんで。発表は恐怖ですわ」とも続けた。

 上方大看板の名跡の重み、師匠の功績は計り知れない。最近、関東地方での高座も増えたという春雨は「3代目春団治の弟子です、言うただけで、名前知らんでも『おー』って。きれいに羽織を脱ぐしぐさしただけで、拍手起こります。これだけで、名前の重みを感じてますから」と話した。

 四天王4人にけいこをつけてもらった経験がある春之輔は「松鶴師匠は『わしら(4人)の中で、一番落語がうまいんは春団治や』とおっしゃっていた。それがうちの師匠の値打ちやと思う」と話していた。

 追善興行は来年1月8日に道頓堀角座で「秘蔵映像とトークで偲ぶ会」を、命日の同月9日には天満天神繁昌亭で「追善落語会」を、同2月26日には大阪松竹座で「一周忌追善落語会」と、3カ所で3種類の興行を予定している。

 大阪松竹座での追善興行は昼夜公演で、ゲストは桂歌丸、柳亭市馬、桂ざこば、桂文珍、笑福亭鶴光、鶴瓶ら。春若は、松竹座での追善興行が実現し「道頓堀に春団治の看板がかかることじたいが、ありがたい」と話していた。