東京地検は19日、執行猶予中に覚醒剤を使用したとして、覚せい剤取締法違反(使用)容疑で逮捕された歌手のASKA(本名宮崎重明)さん(58)を嫌疑不十分で不起訴処分にした。逮捕前に警視庁が任意提出を受け、覚醒剤成分が検出された液体について、ASKAさん本人の尿と立証できなかったためと説明している。

 ASKAさんは19日夜に釈放され、勾留されていた東京都江東区の警視庁東京湾岸署から出た。

 警視庁組織犯罪対策5課によると、ASKAさんは逮捕後、この液体について「あらかじめ用意したお茶を採尿カップに入れた」と供述。同課は「覚醒剤成分が検出されたことは間違いないが、この供述を否定できなかった」などと説明した。

 採尿の際、課員と妻がトイレに同行し、背後から見ていたが、「手元まで確認することが困難だった」としている。

 東京地検は、液体が何だったのかについて明らかにしていない。

 ASKAさんは11月25日午後7時ごろ、「盗撮されているから確認してほしい」などと自ら110番。駆け付けた警察官が任意の尿検査を要請すると素直に応じ、28日に陽性反応が出たため同日夜に逮捕された。

 逮捕容疑は11月中旬ごろから25日までの間、東京都内またはその周辺で覚醒剤若干量を何らかの方法で使用した疑い。逮捕直前、テレビニュースで「逮捕する方針」との速報が伝えられると、本人のブログには「間違いですよ」「何の、問題もありません」と潔白を訴える内容が書き込まれていた。逮捕後も「絶対にやっていない」などと一貫して容疑を否認していた。

 ASKAさんは2014年5月、覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕され、同年9月、同法違反と麻薬取締法違反の罪で懲役3年、執行猶予4年の判決を受けた。