故3代目桂春団治さん(享年85)の一周忌追善「秘蔵映像とトークで偲ぶ会」が、命日を翌日に控えた8日、大阪・道頓堀の角座で行われ、弟子らが酒と女性をこよなく愛した師匠の思い出を語った。

 いまだに「春団治ファン」を自称する桂春之輔(68)は、和歌山での仕事の後、翌日に大事な法要が控えていたにもかかわらず、春団治さんの酒席に同行。「師匠はご婦人と仲良うなって、結局大阪へ帰らずやった」と振り返った。

 その20年後、師匠が夫人と一緒にいたところ「夫婦げんかさせたろ」と思い、和歌山での一夜を暴露したところ、春団治さんは意にも介さない様子で「何や? お前かて、女抱いたやないか」と反撃されたことも明かした。

 結婚後、初夜から夫の朝帰りを経験したと伝えられる春団治さんの夫人はおうようで、「焼きもちを焼かない」ことで知られた。

 夫人は「酒と女はええけど、ばくちはあかん」との心得を持っていたが、春之輔はその意向を代弁。「女にもてようとしたら、ええ格好して、色気も出て、芸事に生きる。ばくちにはまったら(様相が)汚くなる」と説明した。

 筆頭弟子の桂福団治(76)も、自身の結婚式前夜に深酒をした師匠が、酒席から直接結婚式場へ到着し、衣装を夫人が届けてきた秘話を披露した。

 柔らかな唯一無二の高座を演じ、舞踊の達人とも称された春団治さんの芸風は、酒豪で女好きの素顔が生きていた。

 一方で、持ちネタが少なく、完璧主義としても知られていたが、これについては、桂春若(65)が「師匠のライバルは(故古今亭)志ん朝さんやった」。戦後、没落寸前だった上方をともに復興させた故6代目笑福亭松鶴さん、故桂米朝さん、故5代目桂文枝さんは、互いに個性を認め合う「戦友」であり、江戸の天才・志ん朝さんはライバル視していたという。

 春若、春之輔らは「志ん朝さんと出番が前後になると、普段以上に気合の入った高座になった」と振り返り、この日は、その志ん朝さんの直前の出番だった83年の角座落語会で演じた「皿屋敷」など、生前の映像も流された。

 所属の松竹芸能によると、前日に一周忌法要は終えており、9日の命日には、天満天神繁昌亭で「追善落語会」を開催。桂小春団治(58)春雨(52)は「明日(9日)は直系(全)7人で、みなきちんと落語を演じます」とアピールしていた。

 また、2月26日には大阪松竹座で「一周忌追善落語会」も予定。同落語会は昼夜公演で、ゲストに桂歌丸、柳亭市馬、桂ざこば、桂文珍、笑福亭鶴光、鶴瓶らの出演する。