昨年の大みそかに解散したSMAP。木村拓哉(44)はTBS系連続ドラマ「A LIFE~愛しき人~」(日曜後午後9時)に、草なぎ剛(42)はフジテレビ系連続ドラマ「嘘の戦争」(火曜午後9時)と、それぞれ主演。他の元メンバーも、それなりに頑張っている。だが、5人そろうことはない。スマロスの寂しさに必死に耐えている。

 そして、ここへ来て、テレビ界はSMAPについで、大きな存在を失う。1期3年だけで、今月24日で退任する元NHK会長・籾井勝人氏(73)だ。思えば籾井氏の任期中はトラブルの連続だった。放送内容について「日本政府とかけ離れたものであってはならない」と公共放送の政治的中立を損なうような発言から始まり、従軍慰安婦に関する見解、ハイヤーを私的ゴルフに使用した問題、理事からの辞表預かり問題…と、次から次へと問題が噴出した。

 こんなにNHK会長個人が話題になったのは、知人の女性を連れて米国出張をした問題が国会で取り上げられるなどして、91年7月に辞任を余儀なくされたシマゲジこと島桂次会長(96年没、享年68)以来だ。当時、紅顔の駆け出し記者だった私は、しょぼくれて歩く会長について歩きながら「これが政界でも幅を利かせたシマゲジか…」と複雑な思いを抱いたものだった。

 東京の一等地、渋谷のNHK14階にデカいスペースを与えられた放送記者クラブ。トラブル続きの籾井氏の会長退任が決まって、記者たちもホッと一息かと思えば、そうではない。籾井元会長を惜しむ声も多いのだ。放送事故などが起きなければ平穏な放送記者クラブは、発表事は多いが抜いた抜かれたのスクープ合戦は少ない。自然と原稿量も少なくなる。だが、籾井氏の会長就任で原稿量は飛躍的に増えた。記者としてのやりがいはもちろん、会社員としても「ひまだね」と言われるよりは多く仕事をこなすことになるありがたい存在だったのだ。

 それに、数々の発言でNHKトップとしての自覚があるのか問われた籾井元会長なのだが、とにかく憎めない感じなのだ。国会に呼ばれて質問攻めにあった翌日に、NHKの廊下でバッタリであって「昨日は国会で大活躍でしたね。テレビに映ってましたよ」などと話し掛けると「見てくれたかい」と笑顔で答えてくれた。一部の記者は、陰で「モミ~」と呼んで親しんでいた。NHK会長じゃなくて、近所のおじさんだったら、こんなに愉快な人はいない。きっと子どもたちの人気者になっただろう。

 NHK会長といえば、その退任後も注目だ。シマゲジさんの下でNHKの政治部で活躍した、海老沢勝二元会長(82)は次の次の会長に就任。退任後は横綱審議委員会委員長、日本ゴルフツアー(JGTO)機構会長を歴任した。会長就任前の専務理事時代には91年の鈴木京香(48)主演の菊田一夫原作のテレビ小説「君の名は」の、千葉県野田市に出来たロケセットの取材の時に、いろいろ話を聞いた。そして、それから22年後の13年には、男子ツアーのダイヤモンドカップ開催中の茨城・大洗ゴルフ倶楽部であいさつするとびっくりしていた(笑い)。

 ということで、籾井氏の会長退任後について考えてみた。衆議院予算委員会に呼ばれた時のテレビ視聴率は高かった。テレビ業界的には「数字を持っている」ということで、お薦めはテレビ朝日系「しくじり先生」で会長時代を振り返って欲しい。あとは大みそかに紅白歌合戦の裏の日本テレビ系「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!! 絶対に笑ってはいけない」シリーズにも出て欲しい。あのセクシー俳優斎藤工(35)が、お笑い芸人サンシャイン池崎のパロディー「サンシャイン斉藤」になるくらいだから、可能性0%とは言い切れない。天才松本人志(53)とのボケ合戦、浜田雅功(53)に頭にツッコミを入れられる姿を見てみたい気もする(笑い)。

 ともあれ、米国三井物産や日本ユニシスの社長を務めた敏腕ビジネスマンだった籾井元会長。次のステージでは、その真価を発揮して欲しいと心から願う。いや、本当に(笑い)。