東映の時代劇ややくざ映画で活躍し、バラエティー番組でも親しまれた俳優松方弘樹(まつかた・ひろき)さん(本名・目黒浩樹=めぐろ・こうじゅ)が21日午前11時26分、脳リンパ腫のため、都内の病院で死去していたことが23日、分かった。74歳だった。

 「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」の総合演出を手掛けたテリー伊藤(67)は松方さんを「僕にとって大恩人」という。番組プロデューサーが提案した松方さんの起用に「面白い!」と反応して「東映の大スターを呼んだのはいいが、バラエティーで使いこなせるか不安だった」。司会のビートたけしは「たけし軍団」との絡みが多く「全く違うテイストの人とやれば、また違ったいい面が出ると思った」。

 実際に収録が始まると「コントと違って台本がない中、よくやってくれました。演出うんぬんじゃなく、松方さんのアドリブや甲高い裏声、たくさんの汗、たけしさんとの掛け合いが楽しかった」という。「番組がヒットしたのは間違いなく松方さんのおかげです」。

 自宅のある京都から新幹線に乗って毎週上京した。以前は東映やくざ映画のスターだった松方さんと目を合わせなかった乗客たちが「笑顔なんだよ」と喜び、「テレビってすげえな」と感心していたという。