木下工務店などを傘下に置く、木下グループの映画製作、配給会社「キノフィルムズ」のラインアップ発表が9日、東京・有楽町朝日ホールで行われた。

 キノフィルムズにとって、11年の設立から6年で、初のラインアップ発表の開催となった。木下グループの木下直哉CEO(51)は、「私どもキノフィルムズは設立6年。まだまだ未熟な会社でございますが、映画に対する情熱は皆さま方(来場した映画各社の関係者)と同じくらい持っていると思います」と熱っぽくあいさつした。

 木下グループは東映、松竹などメジャー各社の作品の、製作委員会への出資を多数、行ってきた。それと並行して、森田健作が千葉県知事に就任する前の06年に製作総指揮、出演した「I am 日本人」を皮切りに、自社としても映画を製作、配給してきた。その製作、配給部門を独立させ、キノフィルムズを設立して以降、星野源が映画に初主演した13年「箱入り息子の恋」、藤山直美が主演し阪本順治監督がメガホンを取った16年「団地」など話題作を送り出してきた。

 世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭をはじめとした各国映画祭、マーケットでの注目作、良作の買い付けにも以前から力を入れている。第89回アカデミー賞で作品賞、監督賞など6部門にノミネートされ編集賞・録音賞を受賞した、メル・ギブソン監督の「ハクソー・リッジ」(6月24日公開)の、日本での配給も手がける。

 この日のラインアップ発表では、17-18年に同社が配給する24本のうち、21本が紹介された。「ハクソー・リッジ」や、カンヌ映画祭の常連でもある河瀬直美監督(47)の新作「光」(5月27日公開)など邦画、洋画、実写、アニメを織り交ぜ、また内容もエンターテインメントからアート系まで多岐にわたる、充実のラインアップとなった。

 この日は「ハリー・ポッター」シリーズを手がけた世界的なプロデューサーのデビッド・ハイマン氏(55)が駆けつけた。同氏は、全世界で興行収入320億円を突破し、日本でも16年に公開された、クマのパディントンが主人公の英映画「パディントン」の続編「パディントン2」について説明した。

 ハイマン氏は続編の見どころとして、前作でペルーから英ロンドンに家を探しにやってきたパディントンが、窓ふきや理容師などのアルバイトをするところだと語った。「あのクマのパディントンが、理容室で働いているところを想像してください。愛らしいでしょうが…自分の髪形を任せたいと思いますか?」と言い、笑った。

 また、パディントンに敵対する、かつて人気があった俳優役で出演する英俳優ヒューグラントについて「彼はとても気むずかしいが。本当の素顔は違う。人を表面で判断してはいけない、ということです」と説明。その上で、続編で最も描きたいこととして「何より1番価値があるのは、やさしい人の心です」と強調した。【村上幸将】