先日、「スーパー銭湯アイドル」として話題の5人組ムード歌謡グループ「純烈」のファンイベントを取材した。

 さまざまなメディアで取り上げられる様子を見てきたが、私が、いわゆるマダム世代ではないためか、いまいち魅力が分からずにいた。しかし、彼らがファンと触れ合う様子を目の前で取材して、ようやく人気の理由が分かった。

 ファンイベントでは、ツーショットのチェキ撮影やサイン会などが行われた。

 「握手会」「サイン会」と聞くと、ブースの前に行列を作り、制限時間を設けられ、流れ作業的に行われるものをイメージしがちだ。しかし純烈は、驚くほど丁寧にファンと接していた。

 ファンと対面すると「久しぶり~。最近来てくれてなかったじゃん!」などと、ファンの顔を記憶していた。その自然体の触れあいは、銭湯の宴会場でコンサートを行い、客席を練り歩き、近い距離でファンと接してきたことから培われたものなのだろう。

 その後、サインをしながら世間話もする。芸歴が長く、結成10年というキャリアもあり、とにかく、話がうまい。マダムの悩みを聞いたり、何げない日常の出来事を報告したり…。「今日、外、暑かったよね~」「仕事休んで来てくれたの?」とため口で話すのも、平均年齢39歳のグループならではだろう。ファンを膝に乗せたり、別のメンバーの列に並んでいるファンに話しかけたりと、何でもありだった。

 ツーショットチェキは、肩を組む、抱き合う、頬をくっつける、後ろから抱きしめるなど、こちらも何でもあり。メンバーの大半が戦隊ヒーロー経験者、平均身長183cmの包容力は、そばで見ていてもすさまじかった。「お触り禁止」どころか、完全に密着だ。マダムたちも、すっかり乙女の顔だった。

 もはや「会いに行けるアイドル」を通り越し、「疑似恋愛できるアイドル」とでも言ったらいいのだろうか。アイドルとしては特異なジャンルといえる「ムード歌謡」も、マダムの心をつかんでいる一因だろう。10代、20代の若い男性でなく、人生経験豊富な大人の色気漂う男性だからこそ確立できたジャンルだと、強く感じた。