世界3大テノールと呼ばれ、昨年9月に死去したイタリアのテノール歌手ルチアーノ・パバロッティ氏が、最後の公の舞台となった06年のトリノ冬季五輪開会式で“熱唱”したアリア「誰も寝てはならぬ」は健康状態を懸念して事前に録音されたものだったことが9日までに分かった。

 ANSA通信などが伝えた。開会式でオーケストラを指揮したイタリア人指揮者マジエラ氏が最近の著書の中で明らかにしたという。

 同氏によると、パバロッティ氏は06年2月の開会式の前に体調を崩し、開会式当日に声が出なくなることを恐れて事前に録音。開会式では録音した歌に合わせ口を動かすだけだった。オーケストラの音楽も別の場所で事前に録音され、開会式では楽団員らも演奏するふりをしていたという。

 パバロッティ氏はその後、膵臓(すいぞう)がんの手術を受けたが回復せず、昨年9月に71歳で死去した。