合成麻薬MDMAを一緒にのんで死亡した飲食店従業員田中香織さん(当時30)を救命しなかったとして保護責任者遺棄致死などの罪に問われ、無罪を主張している元俳優押尾学被告(32)の裁判員裁判の第2回公判が6日、東京地裁(山口裕之裁判長)で開かれた。午前には、検察側証人3人の尋問が順次あった。

 1人目は、田中さんの知人で芸能プロダクション経営の男性で、事件前年の08年末に被告と関係を持った、と田中さんから打ち明けられたと説明した。「MDMAを効くまでのませたがる男と付き合っていると聞かされ、事件後の報道を見て(被告に)やられたと思った」などと証言した。

 押尾被告は3日の初公判で、MDMAは田中さんが持ち込んだと供述している。

 続いて被告と違法薬物を使った経験があると供述している女性2人が別室からビデオリンク方式で証言した。1人目の女性は、08年の「夏前ごろ」に押尾被告からメールで「愛が深まるものがある」と誘われ、会ってMDMAを飲んだと証言。その後、体調を崩して再度の誘いには応じなかったことも明かした。

 2人目の女性は09年3月14、17、19日と旅先のロサンゼルスで押尾被告の所持していたMDMAを勧められて飲んだと証言した。14日に飲んだ際には体調を崩したが、「彼(押尾被告)のことが好きだったので、雰囲気を壊したくなかったので(19日にも)飲みました」とも話した。さらに、19日に飲んだ際は、「押尾さんは4錠ぐらい飲みました」と証言。その上で、押尾被告が体調を崩した様子を詳細に明かした。「汗が止まらず、苦しそうでした。ソファであおむけになって、顔色が悪くなって息づかいも荒くて、『やばい』と言っていました。すごく心配しました」。押尾被告については「(証言して)申し訳ない気持ちと、頑張ってほしい気持ちがあります」と話した。

 押尾被告は、2人の女性が証言を始めると、大学ノートにペンを走らせ、それを弁護人に見せるなどしていた。公判は午後1時に休廷。午後1時40分から再び開廷し、事件直後に被告からの連絡で現場に駆け付けた元マネジャーの男性(29)らが出廷する。元マネジャーは、田中さんの携帯電話を捨てたとして証拠隠滅罪で昨年12月に略式起訴され、罰金20万円の刑が確定している。

 [2010年9月6日13時35分]ソーシャルブックマーク