人気アイドルグループ「キャンディーズ」の「スーちゃん」として親しまれ、21日に55歳で死去した女優の田中好子さんの葬儀・告別式が25日、関係者やファンが参列して、東京都港区の青山葬儀所で営まれた。<元キャンディーズの伊藤蘭(56)の弔辞>

 スーさん、あなたが旅立つとき、1人で寂しくないように、ミキさんと一緒に、あなたの名前を何度も呼びました。私たちの声は、ちゃんと届いていましたか?

 時間がたつほどに、大切な人を失った悲しみと、寂しさが込み上げてきて、今私たちはとても困惑しています。

 お互いにまだ幼い中学生だったころに出会い、キャンディーズというグループを通して、喜びも苦しみもともに分かち合い、素晴らしい青春時代を過ごすことができました。スーさんは、いつも春のような優しいほほ笑みで、私たちを包み、和ませてくれましたね。その後の女優としての活躍は言うまでもなく、いい仕事をたくさんして、多くの人たちに感動を与えてくれました。

 体のことを打ち明けられたときは、なぜスーさんだと、悔しい気持ちでいっぱいでした。本当はつらいはずなのに、いつも3人で会うときは、笑うことは一番の薬なのよと言って、明るく楽しい時間を過ごし、反対に私たちの方が励まされていたような気がします。3人の中では一番年下で、甘えん坊だったスーさんが、いつの間に、強く、頼もしく、心豊かな女性になっていたことに、驚かされました。

 お見舞いに行ったときも、体調が思わしくないにもかかわらず、私たちを気遣い、いつものようにユーモアを忘れない、本当にかわいいスーさんでしたね。

 愛情いっぱいのご主人一雄さんや、スーさんが一番気にかけていたお父さん、そのご家族。そして、いつもそばに寄り添っていたマネジャーの丸尾さんのお気持ちを思うと、とても胸が痛みます。私たちはみんな、大好きなあなたの笑顔を、そして最後まで病気と闘い、立派に生き抜いたその勇気を、決して忘れることはありません。それを支えに、何とか頑張って生きていかなければと、自分に言い聞かせています。どうぞ、私たちのことを見守っていてくださいね。

 ただ、もう1度だけでいいから、3人で会いたかったです。約束していたのに、果たされなかったことが残念でなりません。

 だから今はまだ、さよならは言わずにおきますね。いつか会えるときまで、もう少しだけ待っててね。これからは、今までの心配や不安から解き放たれて、どうかゆっくり休んでほしいと思います。

 ミキさんと私にとって、いつまでも特別な存在のスーさん。心から感謝しています。ありがとう、スーさん。ずっとずっと愛しています。平成23年4月25日、伊藤蘭。