アンパンマンの原作者やなせたかしさん(92)が、東日本大震災の津波に耐えて1本だけ残った岩手県陸前高田市の高田松原にある松をテーマにした歌「陸前高田の松の木」と、子守歌「ガンバララバイ」のCDを自費で制作した。一般向けにも販売する予定で、売上金を全額寄付することにしている。

 5月末に収録した。歌詞が書かれたハンカチとともに陸前高田市や、松林の保全活動にとり組む市民ボランティア団体「高田松原を守る会」に送る。

 やなせさんによると、歌は2曲とも本人が作詞、作曲した。震災前に7万本あった松並木の中で1本だけ奇跡的に残った松の話に感動し、制作を決めた。

 「松の木」の歌は、一本松を命をつなぐ「希望の木」と表現。「ぼくらは生きる

 負けずに生きる

 生きていくんだ

 オー

 オー

 オー」と繰り返し、やなせさん自身も歌った。

 「ガンバララバイ」は、いまだにがれきが残る被災地の情景を交えながら「くじけず今を我慢して

 いのちをあすへつなぐから

 うれしい夢を見るがいい」と歌い、ハミングを繰り返す優しい歌に仕上げた。

 やなせさんは「市の80%を大津波に流された陸前高田市には心の底から同情します」とコメント。「すべての日本人が力を合わせて復興する時だ」と訴えている。