昭和の喜劇王と称された故藤山寛美さんの娘で、女優の藤山直美(55)が2日、京都市内で、南座公演「八月喜劇夏祭り」(8月1日~25日)発表会見に出席し、上方喜劇の原点回帰を誓った。

 「私も50歳になって、飛んだりはねたりもできへんし、自分のいる面積(居場所)をしっかり固めて、そっから新しいことに挑戦しようと思って。偶然、父親(寛美さん)の娘に生まれてきたし、せっかくやし、私の時代で(上方喜劇が)めちゃくちゃに終わったら失礼ですやん」。

 50代半ばに入り、直美は、父ら前の世代が築いてきた松竹新喜劇をはじめとする、上方喜劇の原点を見つめ直したい気持ちになったと説明した。

 今公演では、父寛美さんも演じた「紺屋と高尾」をアレンジした「紺屋

 恋の道中みやげ」と、自身の当たり役ともなったお六にふんする「はなのお六」を演じる。

 「紺屋-」では、太夫を演じ「8月の京都って、一番暑い時期に。お水いっぱい飲んでがんばります」と笑わせたが、父から受け継ぐ名作への思いは強い。

 上方喜劇とは「品が大事」とし、あくまでも芝居の筋で笑わせ、泣かせ、そして笑わせる伝統芸をしっかりと意識して臨む。

 「私の中では1回、基本に戻って、箸置きにハシを1回戻してから、みたいな感覚でやらなあかんと思っています」といい、今回、共演する田村亮(68)河原崎権十郎(60)らベテラン俳優陣とは「いうても、正体は分かりませんから、けいこ始めてみて、化学反応に期待しています」と話していた。