河瀬直美監督(45)が、フランス文科省から芸術文化勲章「シュバリエ」を授与され、7日に都内の在日フランス大使館公邸で叙勲式が行われた。

 「シュバリエ」は99年に北野武監督、昨年に滝川クリステルが授与されており。河瀬監督は式の冒頭で、ティエリー・ダナー駐日大使(58)から紹介された。

 「この世代で最も有能な監督。あふれんばかりの才能は、フランスでも高く評価されています」

 97年「萌(もえ)の朱雀(すざく)」で新人監督賞「カメラドール」を受賞し、昨年の「2つ目の窓」まで4作品をコンペティション部門に出品するなど、カンヌ映画祭と縁が深く、13年には審査員を務めたことも併せて紹介された。

 胸に着けられた勲章が、外れて床に落ちるアクシデントはあったが、「感無量。1つ1つの作品を作ることが、地球の裏側にいる人たちに届くと思って作ってきた。今回は光が差した」と感激に目を潤ませた。

 河瀬監督は現在も、出身地の奈良を拠点に映画を作り続けており、スピーチの中で、大伴家持が万葉集の最後に歌った歌「新しき年の初めの初春の今日降る雪のいやしけ吉事(よごと)」を披露し、奈良から発信した映画作りが、フランスで評価されたことを喜んだ。

 「家持さんが歌った1300年前と同じ場所、奈良に私は生まれ育ちました。奈良では(歌と)同じように元旦に、家持が見た風景と同じように新しい雪が(降り)世界を覆いました。すばらしい勲章をいただけるのは、うれしい」

 乾杯のタイミングで最新作「あん」(6月公開)主演の樹木希林(71)と、奈良から長男光■(みつき)くん(10)が駆けつけた。樹木は、河瀬監督が映画製作や海外の映画祭を回る中で、自宅を離れがちなことを引き合いに「私が光■くんなら『お母さん、僕の側にいてくれなきゃダメよ~ダメダメ』と言う」とジョークを飛ばし、会場を笑わせた。※■は示ヘンに斤