「家族ゲーム」「失楽園」などで知られる映画監督の森田芳光(もりた・よしみつ)さんが20日午後10時15分、急性肝不全のため東京都内の病院で死去した。61歳。東京都出身。葬儀・告別式の日取り、喪主は未定。

 日大芸術学部在学中から8ミリ映画を製作し、1981年に落語家の若者を主人公にした青春映画「の・ようなもの」で劇場映画デビュー。

 家族の崩壊など、日本社会が抱える問題を独特のユーモアを交えてスクリーンにぶつけた。

 松田優作さんや伊丹十三さんが出演した「家族ゲーム」では、横一列に並んで座る食卓の風景で、空疎な時代の空気をシニカルに活写。ブルーリボン賞監督賞を受けるなど国内外で高い評価を受け、実力派の若手監督として一躍注目された。

 さらに薬師丸ひろ子主演の「メイン・テーマ」など、アイドルを起用した映画をヒットさせ、低調だった80年代の日本映画界をけん引した。

 役所広司と黒木瞳が悲恋のカップルを演じた渡辺淳一さん原作の「失楽園」は社会現象に。夏目漱石原作の「それから」や、向田邦子さんの「阿修羅のごとく」、さらに宮部みゆきさんの「模倣犯」、奥田英朗さんの「サウスバウンド」など強い関心を持ち続けた文学の世界を、たびたび映画のモチーフにした。

 パソコン通信による出会いを描いた「(ハル)」など時代の風俗を取り入れた映画をつくる一方で、近年は黒沢明監督の「椿三十郎」を、織田裕二主演でリメーク。堺雅人らが出演した「武士の家計簿」など、時代劇にも才能を発揮した。

 松山ケンイチ、瑛太主演のコメディー映画「僕達急行

 A列車で行こう」が来年3月に公開予定だった。