「風の谷のナウシカ」「千と千尋の神隠し」などの製作で知られるアニメーション作家の宮崎駿監督(72)が6日、都内のホテルで会見し、長編映画製作からの引退を自ら発表した。

 「何度もやめると騒ぎ起こしたので、まただろうと思われてるだろうけど、今回は本気です」と断言した。前作「崖の上のポニョ」から5年の歳月をかけ、最新作「風立ちぬ」を完成させた。気力と体力は限界に達しており、「『ポニョ』より机を離れるのが30分、早くなっている。仕方ない。無理だと判断した」と説明した。

 長編映画は「風立ちぬ」が最後になる。「監督になってよかったと思ったことは1度もないが、アニメーターをやっていてよかった。何でもないカットが描けたとか、いい風、光が描けたとか、それだけで2~3日は幸せになれる。でも、監督は最後に判決を待たねばならない。胃に良くない。アニメーターという職業は自分に合っている、いい職業だった」と振り返った。

 今後は「私は自由人です」と宣言し、若手クリエーターの作品への監修、アドバイザー参加についても「ありません」と言い切った。その上で、「(美術館の)入り口の絵を描き直さないと。ぜひ時間ができたら、ずっとやりたいと思っていた」と、本来の絵描きとしての活動に興味を示した。