第2次世界大戦で旧日本軍の捕虜になった元米軍人の体験を基に米女優アンジェリーナ・ジョリーさんが監督した映画「アンブロークン」が25日、米国などで公開された。

 残虐な日本兵が描かれ、日本の観客には抵抗感が強いとみられる。配給会社は日本での公開を検討しているが、時期は決まっていない。

 原作は陸上5000メートルで五輪にも出場したルイス・ザンペリーニ氏(今年7月死去)の体験を作家ローラ・ヒレンブランドさんが記し、全米でベストセラーとなったノンフィクション小説。

 逆境の中でもくじけない主人公の姿が主題だが、主人公が2年半を過ごした日本の捕虜収容所で日本人伍長から執拗(しつよう)な虐待を受ける姿が描かれ、日本語サイトでは「反日的」との批判もあった。

 25日、ロサンゼルスの劇場で鑑賞したバスケットボールのアシスタントコーチ、ジェフ・ロスさん(60)は「日本政府は嫌がるかもしれないが、日本でも上映すべきだ。ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の映画だからドイツで上映しないということがあるだろうか」と話した。

 配給元である米ユニバーサル・ピクチャーズのグループ会社幹部はロサンゼルス・タイムズ紙に対し、世界で米国、中国に次ぎ第三の市場である日本での同映画の上映は「挑戦だ」と話し、他の国よりも公開を遅らせる考えを示した。

 ザンペリーニ氏は1998年の長野冬季五輪に際して訪日。映画の終盤では同氏が日本人から歓声を浴びながら聖火を片手に走る場面もある。