歌手ちあきなおみ(61)の映像が初めて商品化されることが13日、分かった。22日発売のCDボックス「歌手」で、80曲収録のCD5枚や写真集とともに、特典として「紅い花」のライブ映像がDVD化された。ちあきは、92年に夫の郷■治さん(享年55)が亡くなり、芸能界から姿を消した。活動再開を望む声が絶えない中、美空ひばりさんが後継指名した表現力と歌唱力が映像でよみがえる。

 引退宣言をすることもなく、マイクを手放してから16年。歌手デビュー40年という節目に、ちあきの映像が初めて店頭に並ぶ。最近はテレビの特別番組やコロッケのものまねでしか、お目に掛かれなかった「動くちあきなおみ」だ。

 映像は郷さんが亡くなる約半年前の92年初頭、横浜で実施したコンサートを所属事務所が資料用に録画していたもの。倉庫に眠っていた“お宝”を偶然に発見したという。収録曲の「紅い花」は、前年に発売された事実上のラストシングルで、録画した曲の中で最もクオリティーが高かった。当時のちあきは、闘病中の夫を献身的な看病で支えながら、歌手活動を行っていた。

 CDボックスには20ページの写真集も付いている。約半数が本人提供の未発表写真で、80年代にポルトガル旅行した際の貴重なオフショットも含まれている。また、CDには未発表のライブ音源6曲を収録。「夜霧のブルース」「夜へ急ぐ人」「普通じゃない」「霧笛」「それぞれのテーブル」と「名月赤城山」で、東海林太郎の名曲「名月-」は、ちあき歌唱で初の音源化になる。

 同ボックスのプロデュースはミリオンヒット「喝采」のディレクターだった東元晃氏が手掛けた。16年間も歌手を「自主休業」するちあきを約2年にわたって根気よく口説き落とし、映像を世に送り出すことを含めて、了解を得たという。CDは「百花繚乱」でスタートし「伝わりますか」で締めくくられ、80曲6時間に及ぶ。東元氏は「ちあきが歌う情(こころ)に触れてください」とメッセージを添えた。※■は金へんに英