俳優・緒形拳さん(享年71)の遺作となった倉本聡氏脚本のテレビドラマ「風のガーデン」(UHB、木曜午後10時)のロケ地の庭が保存され、09年春に一般公開される。庭があるのは新富良野プリンスホテル(富良野市中御料)で、現在は立ち入り禁止になっている。「北の国から」、「優しい時間」に続く、富良野の観光名所となりそうだ。

 ドラマのロケ地となった庭園は、新富良野プリンスホテル敷地内にある。ドラマの撮影のため、フラワーゾーン右端の一部600坪を、06年春から2年かけてつくった。ドラマでは故緒形拳さん演じる富良野の訪問医・白鳥貞三の自宅の庭として使われ、365種類の花や野草が植えられている。現在は、一般人立ち入り禁止だが、9日の「風のガーデン」第1話放送後、同ホテルに問い合わせが相次いだ。

 同ホテルでは撮影を終えた9月、お披露目の意味で関係者約900人を招待した。そこで好評を博したこともあり、一般公開への検討を始めた。庭園と自宅はドラマ撮影時と同じような形でそのまま残す。開始時期は、花が咲き始める来年春ごろになりそうだ。ホテルからは片道1・5キロあるため、来園者は営業車で送迎する予定で、利用料金が発生する。

 「風のガーデン」は脚本家・倉本氏によるテレビドラマ「北の国から」、「優しい時間」に続く富良野3部作の最終章。終末医療がテーマとなっている。がん患者の特有のにおいを花の香りが和らげることから、舞台が花とガーデンに結びついていった。第1話のタイトルは春先に咲くヒガンバナ科の花の名から「スノードロップ」、第2話以降も庭園にある花がタイトルになる。

 庭園は旭川市の著名なガーデンデザイナー上野砂由紀さん(32)が設計した。チューリップのつぼみをシカに食べられるなどのアクシデントを乗り越え、出来上がった。倉本氏の「歩いていても姿が隠れような庭」に応えるため、山野に自生し、高さ2~3メートルまで育つ植物もある。ドラマのテーマは生と死、庭園は自然の移ろいを静かに美しく見せていく。上野さんは「植物が伸び伸び育って、季節のなかで流れるように変化する景色を見てほしい」と話している。