東京・歌舞伎座で来年1月から再来年4月までの16カ月間にわたり「歌舞伎座さよなら公演」が行われることが20日、発表された。51年に再開場した現在の歌舞伎座は老朽化のため閉館・解体。工期は約3年で、13年にも新しいビルとなって再開場する予定。

 この日会見した松竹の安孫子正専務は「名狂言を中心にさよなら公演にふさわしい演目にしたい」と話し、ホームページなどを通して一般ファンの希望も反映させたいという。さよなら公演のスタートとなる来年正月公演は、通常は2日初日を3日に延期。2日に歌舞伎座だけでなく国立劇場、浅草公会堂、大阪松竹座に出演する幹部俳優ら約150人を歌舞伎座に集めて、舞台上で公開の「古式顔寄せ手打ち式」を行う。「さよなら公演に向けての幕開きにしたい」(安孫子専務)という。

 歌舞伎座は1889年に開場したが、関東大震災や東京大空襲で焼失し、現在は4代目。再開場した51年に6代目中村歌右衛門の襲名披露が行われるなど、昭和・平成の名優たちが舞台を踏んだ。05年に建て替えを発表したが、地元との協議などで着工が延びていた。さよなら公演の演目などは未定で、新しい歌舞伎座の概要は来年1月に発表予定。建て替え中は新橋演舞場で年10カ月歌舞伎座公演をするほか、国立劇場で公演を増やす方向で話し合い中という。10年4月のさよなら公演終了後にも全歌舞伎俳優を集め、さよならイベントを検討している。