ZEEBRA自伝で祖父横井英樹氏を語る
ヒップホップ歌手ZEEBRA(ジブラ=37)が、初の自伝で祖父横井英樹氏(享年85)について赤裸々につづった。ラッパー生活20周年を記念した著書「ZEEBRA 自伝 HIP HOP LOVE」(ぴあ)が12日に出版される。横井氏は82年のホテルニュージャパン火災事故で業務上過失致死傷罪を問われ実刑判決を受けた人物。これまで語ることのなかった苦悩や決意、新事実などを飾らない言葉で明かしている。
ジブラにとって横井氏は母方の祖父。少年時代、祖父について詳しく知らず「気前のいいじいさん」と慕っていた。認識を一変させたのが、死者33人の大惨事、ホテルニュージャパンの火災事故だった。当時は小学5年。消火施設不備など違法運営が明らかになり、同ホテル社長だった祖父は刑事被告人となり、大きな衝撃を受ける。
横井氏は海運業や観光レジャー産業などで成功し、戦後を代表する実業家の1人だった。ところが事故後の報道で、株買い占めによるデパート白木屋買収を企てた「乗っ取り屋」と呼ばれていた過去などを知る。同著では、その優しさに触れていた半面、「(社会的に)問題のある人だったんだな」と事故後は複雑な思いを抱えたことを明かしている。
これまで祖父について語ったことはほとんどなかった。同書では吹っ切れたように率直な言葉で「祖父」を語っている。本名・英之の「英」は英樹に由来すること、事故後に級友から「殺人犯の孫」と呼ばれ傷ついたこと、結婚する時に戸籍を調べたところ、知らない間に横井氏の養子になっていた事実なども明かしている。
現在は祖父の存在が音楽活動の原動力になっているという。特定ファンに支えられている印象が強いヒップホップを幅広く認知させようと各メディアに積極的に飛び込む姿勢の背景に祖父の存在があった。同書で「もしもじいさんが世の中に対して作った負があるとするならば、別の何かでプラスにできないだろうかということは考えている」「公のために何かをしたいっていう意識は、その“負”から生まれている気がする」と心境を明かしている。
自伝は、幼少期から名門高校退学までの思い出、結婚秘話、会社員生活、ヒップホップに対する熱い思いなど、ヒップホップ界をけん引する男の知られざるエピソードが詰まった1冊になっている。
[2008年11月12日6時37分 紙面から]
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