認知症で闘病中の元女優南田洋子さん(76)が脳梗塞(こうそく)を患っていることが15日、分かった。2月に判明し、入退院して治療を続けていたが4月1日に意識が混濁したため再入院した。夫で俳優の長門裕之(75)は17日発売の著書「待ってくれ、洋子」(主婦と生活社)で4年にわたる闘病の様子を打ち明けている。

 南田さんは05年ごろから認知症の症状がみられるようになった。以来、長門の介護で在宅治療を続けていたが、今年1月の検診で、肝炎から来る神経障害が原因だと判明。同書によると長門は「肝炎の治療で治るかもしれない」と光明を見いだしていた。その直後に、洋子さんに異変が見られた。2月2日に病院へ連れて行くと、脳梗塞だと診断された。軽度のために手術をせずにしばらく入院して治療。退院もできたが3月28日にベッドから転落し、足の痛みを訴えるようになってから再び容体が悪化。今月1日に再入院し、今も治療が続いている。

 再入院後の会見で長門は「このままでは洋子が植物状態になってしまう」と涙をこぼした。無頓着だった介護保険についても勉強して、要介護の申請を出すなど老老介護の難しさに直面している。

 昨年秋、テレビ朝日「徹子の部屋」で洋子さんの認知症を明かした。ドキュメント番組では症状と闘う、2人の暮らしをカメラを通じて紹介。視聴率が20%を超えるなど茶の間の反響も大きかった。同書ではさらに克明にその様子がつづられた。長門は「洋子をずっと愛してる。おれたちには治ることより、どう生きるかが大切」と、「おしどり」と呼ばれた夫婦の今をそのまま伝えたい意向だ。

 浮気や借金問題など、洋子さんに苦労をかけた過去も明かし、ざんげしている。「ダメ亭主であるぼくを、唯一無二の夫として愛してくれた」と感謝し、今100%の愛を注げることに「この年になってこんな気持ちを味わえる人生をくれた、天の神様の配剤に、すごく感謝している」という。洋子さんが語らなくても、表情からかゆいところや痛む個所を見つけてさすっている。「それが最高の人生。おしどり夫婦は偽りだったと書いたけど、ぼくたちはやっぱりおしどり夫婦だと思う」と話している。

 [2009年4月16日8時10分

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