森光子(89)の主演2000回舞台「放浪記」が来年5、6月に東京・日比谷シアタークリエで再演されることが1日、分かった。この日、首相官邸で国民栄誉賞を授与された後の会見で明かしたもので、来年の舞台で90歳を迎える森は「皆さんが台本を書いてくれたみたいで、幸せ者です」と喜んだ。

 この日午後、森は新調した着物で国民栄誉賞授与式に臨み、麻生太郎首相から表彰状、盾、記念のオメガの腕時計を手渡された。首相は「芸能界で一線で活躍し、放浪記では半世紀にわたり主演するなど国民に夢と希望と潤いを与えた」とたたえると、森はお返しに放浪記のサイン入りDVDをプレゼントし「私でいいのかしらと思った。(首相には)優しく扱っていただいた。たぶん私がお母さまくらいの年だからでしょう」と笑わせた。

 国民栄誉賞受賞は17人目で、女優では初めて。首相は閣僚人事などで多忙だっただけに森も「大変な時にいただいて申し訳ないと思いました。皆さん疲れているのではと気を使いました」。取材陣から「国民栄誉賞をもらい、ほかにほしいものは」と聞かれると「年を“取って”ほしい」と機知に富んだ答えを返した。

 今年11月の明治座「晩秋」公演を経て、来年の「放浪記」再演が決まり、森は「再来年は初演から50年。それまではやりたいという決心が固まりかけている。その夢がつながっています」と11年の50周年記念公演に意欲をみせた。

 [2009年7月2日9時47分

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