ダンス&ボーカルユニットEXILEの全国ツアーが16日、さいたまスーパーアリーナで最終日を迎えた。メンバーが7人から14人に倍増して初のツアー。大所帯になった分、質が問われるステージになったが「倍増」を意識したセットとパフォーマンスをグループ史上最大の動員数となる50万人(34公演)に届けた。ボーカルATSUSHIは感激の涙をこぼし、最後はメンバー全員がビールジョッキ2杯を一気に飲みほし、ツアー完走を祝福した。

 乾杯のビールも2倍だった。3カ月にわたるツアーの締めくくりで、メンバー全員がビールの中ジョッキを手にした。リーダーHIROは「皆さんの笑顔で勇気をもらいました。これからも初心を忘れず、最高のエンターテインメントをお届けします。皆さんの幸せを願って、カンパーイ!」。8秒で一気に飲み干したHIROは「うめぇ!」。ファンから「もう1杯」の声があがり、全メンバーが2杯目もクイッ。HIROは「よい子の皆さんはまねしないでください」と念を押すと、3万5000人のファンは大笑いした。

 ビールの味は格別だった。今年3月、EXILEとJ

 Soul

 Brothersの合体でメンバー倍増を発表した。歓迎するファンが大多数の中、「ショック」の声もあった。ATSUSHIは「今、この段階で結論を出すことだけはしないでほしい。14人のパフォーマンスを見ていただいて判断してほしい」と呼び掛け続けた。最終日まであえて多くのマスコミには公開せず、演出面の情報管理までして、最初にファンに見てもうことにこだわった。それだけに、40万人を動員した昨年のドーム公演を上回る50万人の声援がうれしかった。

 アンコールでATSUSHIは「新生EXILEをたくさんの笑顔と熱い声援で受け入れてくださって喜びたいと思います。これからも、人からもらうやさしさに幸せを感じながら、人生をかけて頑張っていきたい」。こらえていた涙があふれた。

 昨年末のドーム公演の5カ月後にスタートしたツアーは、ファンに近づくことを意識。会場中央に初めて円形ステージを組み、四方からファンに見てもらった。メンバーが渦状に回る「Choo

 Choo

 TRAIN」のチューブは、メンバーが倍になったことで2本になった。一方でステージから舞う紙テープの1本1本に手を入れ、客席に真心を届けた。HIROは「今、EXILEがやるべきパフォーマンス、伝えたい思いを反映できる演出を意識しました。14人ならではのパフォーマンスになったと思う」と振り返った。

 5月24日の広島公演で、新メンバーのKEIJIがアキレスけん断裂のけがを負い、中盤から13人でのステージだったが、秋の劇団EXILEの公演に向けて順調に回復している。12月には新生EXILE初のオリジナルアルバムの発売も決定した。「MONSTER」の進化は倍増では終わりそうにない。【岩田千代巳】

 [2009年8月17日8時31分

 紙面から]ソーシャルブックマーク