鳩山由紀夫首相のそっくりさん芸人、鳩山来留夫(36)が失業危機だ。2日、所属先のオフィス北野(東京・赤坂)で取材に応じた来留夫は「このままだと、芸能界から事業仕分けされる!」と、強い危機感を口にした。鳩山首相就任時は注目を集めたが、内閣の支持率低下に伴い仕事も激減、月収はピーク時の60万円から8万円に落ち込んでいた。次期首相に最も近い菅直人副総理のものまねを特訓するつもりだが、今後の行方は、師匠のビートたけし(63)が握っている。

 この日も仕事はゼロだった。50通以上のメールで起こされテレビを見ると、涙目の鳩山首相が映っていた。寝起きの来留夫も涙目だったため、妻に「やっと似てきたわね」と、むなしい言葉を掛けられた。09年11月には長男が生まれたばかりで「おまんまの食い上げです。家庭内の雰囲気は良くない」と肩を落とした。

 09年8月に鳩山政権が誕生した直後が仕事のピークで、2週間に60本をこなした。給料制から歩合制になり、11月にはたけしの付き人からも卒業した。月収も60万円を超えたが、好調な期間は1カ月間ほどだった。仕事は年明けには激減、仕事が月4本で月収8万円にまで落ちた。休みは増えたが、行けるのは「無料だから」という理由で、もっぱら図書館になった。

 さらに、沖縄の基地問題が迷走した影響で、沖縄料理店で酔っぱらいに土下座を強要された。場を収めるために人生初の土下座をした。街で「うそつき」呼ばわりされることもしばしば。ひたすら謝り続けるという新ネタを披露した時は、期待通りに(?)怒号を浴びたそうだ。

 また、つい先日、3万円で2着スーツを新調、ハトのおもちゃを使った手品のためにマジック講座に5万円使ったばかりだという。

 しかし、メゲてはいない。皮肉を言った妻も、実は「大丈夫よ」と支えてくれている。来留夫は「鳩山首相に恨みはありません。似ているだけで、国会に行って本人に会えたり、いろんな経験ができました。もうちょっと頑張ってほしかったですけど、僕は芸人は辞めません。菅(直人)さんがカイワレを食べた時(96年9月、菅氏は当時は厚相)の物まねを練習します。新しいマニフェストは『芸能界仕分け作業からの生き残り』」と意気込んでいる。日本ハトポッポ党も存続させるという。

 名前を付けてくれたたけしには、早ければ週末に会う予定で「今後は殿次第。僕にとっては小沢(一郎)さんより決定権がある」と、改名も示唆した。鳩山首相が降りるまでの数日は、街に出て名刺を配って思い出を刻む。【小林千穂】

 [2010年6月3日7時47分

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