女優田中好子さん(享年55)の急死から一夜明けた22日、キャンディーズとともに青春を過ごした世代を中心に、大きな悲しみが広がった。ファンが夢見た再結成が、完全についえた日でもあった。78年の解散コンサートを取材した日刊スポーツ小田切孝夫記者(59)が、キャンディーズがいた時代を振り返るとともに、早すぎる死を悼んだ。
「普通の女の子に戻りたい」。1978年(昭53)4月4日、当時の流行語になったキャンディーズ解散コンサートを取材した。黄ばんだ日刊スポーツの記事の切り抜きを見ると、33年前の遠い記憶の中、今はない後楽園球場の熱気がよみがえる。
ぽっちゃりタイプのスーちゃん、キュートなランちゃん、スレンダーなミキちゃん。決して超美人ではない、どこにでもいそうな女の子。親しみやすさが普通の男の子たちから圧倒的に支持された。最後の姿を見ようと5万人が集まった。
3人は4時間で52曲も歌った。最後は声を詰まらせ「ありがとう」と別れを告げた。今でこそ球場コンサートは珍しくないが、後楽園で女の子がコンサートをやるのは初めてだった。
70年代半ばは「自分らしく生きたい」という気分が若者の間にあった。それを3人は全く構えることもなく「普通の女の子に戻りたい」というフレーズで、ごく自然にやってのけた。
解散前年の7月、3人は日比谷野音のコンサートで、ファンに向かって解散を伝えた。3人の所属は、絶大な力を持つ渡辺プロ。人気がなくなって芸能界を引退することはあっても、絶頂時に辞めるなんて理解できない大人たちは慌てたろう。しかし、後楽園球場に集まったファンの中には「落ち目になってやめるより、売れてるうちにやめる方がいいかもね」という共感の声もあった。その後、山口百恵も絶頂時に引退→結婚し、都はるみは「普通のおばさんになりたい」と一時、芸能界を離れた。キャンディーズは、人気や収入よりも「普通に生きる」ことを選んだ先駆けだった。
デビューからわずか4年半でキャンディーズは解散してしまった。しかし、その後デビューした女性アイドルグループの原点はキャンディーズに間違いない。AKBの名前は多すぎて覚えきれない世代にも、3人の名前はいつまでも心に残る。【小田切孝夫】




