12日に都内の自宅マンションで首をつって亡くなったタレントの上原美優さん(本名・藤崎睦美、享年24)の葬儀・告別式が15日、故郷の種子島、鹿児島県中種子(なかたね)町内の斎場で営まれた。喪主を務めた父親の久男さん(79)は参列者に「ファンや地元の方々にもう少し恩返しをしてほしかった。申し訳ない」と頭を下げる一方、10人きょうだいの末娘に救いの手を差し伸べられなかったことで自責の念にかられている。

 「家族で送りたい」という遺族の強い意向で、前日14日の通夜同様、葬儀・告別式も密葬形式で行われた。親族、十数人の地元の親友ら限られた親しい人々だけが、上原さんに最後の別れを告げた。木下優樹菜、若槻千夏ら同じ所属事務所のタレントや中種子町長ら地元有力者の参列も丁重に辞退。恋人の一般男性(26)も姿を見せなかった。約70人が参列したとみられる。

 小・中高時代の同級生3人が弔辞を読んだ。「常に明るく前向きで、何があってもくじけない。テレビに映る姿は全然変わらなかった」「私たち3人を引っ張ってくれた」「よく一緒に怒られたよね」。女性3人は並んで立ち、代わる代わる天国の上原さんに語り掛けた。1人はぼうぜんとした表情。1人は泣き崩れ、何度も言葉に詰まった。

 最後に喪主を務めた父親の久男さんがあいさつに立った。「芸能界で頑張ってきましたが、売れなかったころから支えてくれたファンもいる。地元愛が強かった子でもあるので、ファンの方や地元の方々のために、もう少し頑張って恩返しをしてほしかった。みなさんに申し訳ない」。悲しみを押し隠し、参列者に深々と頭を下げた。

 前日夜は妊娠中の姉を除く兄姉8人と久男さんが斎場に宿泊。大家族で上原さんとの最後の一夜を過ごした。「何でこういうことになってしまったのか」と早すぎる死を嘆く以上に、「身内として、もっとやってあげられることがなかったのか」と久男さんを中心に、全員で悔やんだという。

 特に久男さんは、参列者には突然の死をわびる一方、末娘を助けられなかった自責の念に強くかられている。上原さんが自殺を図る前日に2度電話で話をした。最後の言葉は「お父さん、早く寝なよ。お休み」。最初の電話で「(死んだ)お母さんのところに行きたい」と訴えていた上原さんが落ち着いたと思い、一安心した数時間後に悲報が届いた。だが、この日も気丈に振る舞い、涙をは見せることはなかった。

 上原さんはこの日、荼毘(だび)に付された。昨年3月に亡くなった母親イチ子さん(享年65)と同じ墓に埋葬される予定。最愛の母とともに故郷・種子島に眠る。