<AKB48:24thシングル選抜じゃんけん大会>◇20日◇日本武道館

 第2回AKB48じゃんけん大会が20日、都内の日本武道館で開催され、最年長25歳の篠田麻里子が、涙の初優勝を飾った。12月7日に発売されるAKB48の24枚目シングル曲のセンターポジションに立ち、製菓「ぷっちょ」の新CMにもセンターで出演する権利を獲得した。

 力強いグーで、ひそかに憧れていたセンターの座をつかみ取ると、目頭が熱くなった。篠田は最年長のお姉さんらしく、本当はいつものように冷静な笑みで受け止めたかった。それでも、本能と本音が、涙となって止めどなくあふれ出た。

 「2戦目までは負けるつもりというか、あっ、いや、負けるかなと思っていたので、ここでトロフィーを持って立っているのが、不思議でしょうがない…。でも、正直、めちゃくちゃうれしいです!!」

 “魅惑のポーカーフェース麻里子さま”が、今までで一番の無邪気な笑顔で喜んだ。

 思わず口走ってしまったように、良い意味で“負けるつもり”だった。選抜21回の常連で、若手の面倒見も良いお姉さんは、昨年の第1回から選抜枠を後輩に譲りたがっていた。秋元康プロデューサー(55)も「(篠田が)自分の公演の代役を務めてくれる子や、陰で頑張る子を応援したくなる気持ちは否定しない」と認めていた。それでも運だけは、どうにもならない。選抜が確定する3回戦までは、68人の出場者でただ1人、勝利のたびに相手に「ごめんね」とわびていた。

 しかし、無欲の勝利というわけでもなかった。選抜入りが“決まってしまった”瞬間にスイッチが入った。4回戦からは、じゃんけんに挑む目つきを、ドラマ「マジすか学園」で演じたコワモテ副部長(番長)「サド」の戦闘モードに変換。「選抜入りが決まった瞬間1位を取る!!

 って思ったらいつの間にか1位に」。本気になったら、もう負ける気はしなかった。

 グループ発足時からキャリア5年半。6月のAKB48総選挙4位と超売れっ子の篠田だが、センターだけは未経験だった。168センチの長身は、ダンスフォーメーションのバランスを取るため、同じ長身の小嶋陽菜とともに、必然的にグループの両端に立たされてきた。

 しかも、25歳の最年長。世代交代のためのセンター抜てきもなく、じゃんけん大会で勝たない限り、AKB48のセンターに立つ可能性はなかった。とっくに諦めていたはずの夢が1歩ずつ近づくにつれて、自然と本気になったのは、アイドルとしての本能だった。

 祝福してくれる1万1000人のファンには「初のセンターで、すてきな曲を、新しいAKB48をお見せしたいと思います!!」。ど真ん中が頭1つ飛び出るというバランス度外視のフォーメーションが、AKB48に新たな風を吹き込む。【瀬津真也】