【シンガポール17日=瀬津真也】3月31日をもって全メンバーが卒業するSDN48が、最後の海外公演を開催した。通算3回目となるシンガポール公演には、芹那(26)近藤さや香(27)らメンバー12人が出演。超満員となった会場では、メンバーとファンが互いに別れを惜しんだ。

 ラスト曲「孤独なランナー」を残したところで、佐藤由加理(23)や芹那たちの瞳から、熱いものがあふれ出てきた。「サンキュー…」。事情をすべて知る観客も、最後まで声をからして声援をくれる。冷房が効いた会場なのに、メンバー12人の髪は、汗でびっしょり。楽屋に戻ると、倒れ込むメンバーが出るほど完全燃焼した。

 シンガポールでは、アダルトでセクシーなSDN48は大人気だった。昨年6月の初公演以降、本家AKB48以上にファンが盛り上がっていた。佐藤は「本当に温かい場所です…」。熱狂的な応援が、涙腺を緩ませた一因だった。

 昨年11月に突然、全員での卒業が発表された。メンバーのショックは大きかった。小原春香(23)は「家族以上に一緒だったメンバーと会えなくなる、劇場で公演ができなくなる、衣装を着られなくなると思うと、さみしい」と本音を漏らす。

 ただ、芹那は「全員卒業というのもSDN48のコンセプトの1つかも。今は、いいタイミングだと信じて走っています」と言い切った。AKB48からの移籍、元タレント、ラーメン店店員、社長秘書など多様な出身者の集合体で、最終的な夢も、歌手や女優、リポーターなどさまざまだった。20歳を超えたSDN48メンバーたちは、個々の夢をかなえるためにも退路を断たれたのだ。今は、卒業も前向きに捉え始めている。

 最後に一花咲かせて終わらせたい。3月7日に最後のシングル「負け惜しみコングラチュレーション」を発売する。曲名からも感じられるとおりに、芹那は「今の私たちに重なる部分がある歌。この歌で、日本やシンガポールで応援してくれたファンのみんなに、これからもずっと思われ続けていたい」と話した。自分たちの思いを込めた作品で、悲願のオリコンランキング1位を目指す。