演歌歌手小林幸子(58)が、所属レコード会社「日本コロムビア」とのアーティスト契約を解除したことが20日、明らかになった。4月に小林が自身の所属事務所「幸子プロモーション」の女性社長ら2人を解任した“お家騒動”の余波で、6月に予定されていた新曲の発売が延期になっていた。小林側は「フリーでも新曲を出したい」と契約解除を申し出て、同社も同意した。小林側は自主レーベルから10月に新たな曲の発売を予定している。

 小林幸子問題が、再び動きだした。小林が所属の日本コロムビアを離れ、フリーの立場で活動することになった。

 小林のお家騒動が発覚した直後の4月中旬、6月6日に予定されていた新曲「絆坂」の発売が延期となった。その後、小林が6月中旬に解任した前社長ら2人に計6000万円の和解金を支払い、同時期に記者会見して前社長らに謝罪し、「歌いたい」などと心境を語った。強い不信感を抱く前社長とはいまだ完全和解に至っていないが、小林側は「誠意を尽くした」として日本コロムビアに、新曲の発売を求めてきた。

 関係者によると、日本コロムビアは当初から「小林と前社長が雪解けした状況がないと、新曲を発売することへのユーザーやディーラーの理解を得られない」というスタンスだった。何度かの協議の中で、同社側が「どうしても出したいのなら、フリーになる手段もなくはない」と提案したこともあったという。その後、小林側から「フリーになっても年内中に新曲を出したい」という申し出があった。1996年に契約を交わした同社にとって、小林は演歌系の看板歌手だが、スタンスを変更することはできないとして最近、契約解除で合意した。

 小林側は今後、「幸子レコード」などの名称で自主レーベルを立ち上げ、10月に新曲を発売する意向だ。「絆坂」は、日本コロムビアに帰属する曲で使用することができないため、新たな曲となる。また、同社の販売網を使えないため、全国に展開する大手レンタルCD店などからの発売を検討中という。小林側の関係者は「歌手が歌を出せなければ、アーティスト契約の意味はないので、フリーを選択した。NHK紅白歌合戦にはもちろん出したいですが、まずは歌手として歌える環境を整えたい」と話した。