「第37回ホリプロタレントスカウトキャラバン」が29日、都内で行われ、東北出身の菅野莉奈さん(13)がグランプリを獲得した。山形県在住の中学1年生で応募総数2万9521人の中から選ばれた。37回の歴史で初めて、グランプリ決定と同時に芸名が決まるサプライズもあった。ホリプロが生んだ伝説のスター、山口百恵さん(53)の総画数にあやかり、名字を同じ画数とした「優希美青(ゆうき・みお)」に決まった。

 被災地東北に元気を送ろうとオーディションに応募した菅野さんが、栄冠を射止めた。緊張で食事がノドを通らない中、歌や演技の審査で全力を出し切った。受賞の瞬間、体を震わせ、大粒の涙をこぼした。

 学校から帰宅すれば、「テレビはあまり見ず、勉強をしてます」という13歳。母親がインターネットでスカウトキャラバンの募集要項を見たことが、応募のきっかけとなった。「震災があったので、私がグランプリになったら、東北の人が少しでも元気になれるかなと思ったので、応募しました」。自宅周辺に大きな被害はなかったが、同じ東北地方の人たちの復興に少しでも力になれればと、自由曲審査では、ZARDのヒット曲「負けないで」を選び、東北を思いながら歌った。

 ホリプロ津嶋敬介実行委員長も「仙台予選の時からスタッフみんなが『きた~』と言っていた。それほど将来性を感じさせる原石だと思いました」。地方予選から存在感を発揮していたのは深田恭子(29)石原さとみ(25)以来という。

 期待の高さは、サプライズ発表にもつながった。80年に引退した山口百恵さんの「恵」を、姓名判断などで「惠」と表記した場合の総画数24にあやかり、その画数が同じ「優希」を名字とする芸名が与えられた。関係者によると、人や物を引きつける画数だという。突然の芸名決定に驚くばかりの菅野さんは、受賞後の自己紹介で「ゆうきまおみ…」と間違えてしまう場面もあった。

 今日30日に配信曲の収録を行うほか、来年の日本テレビ系連続ドラマ出演、江崎グリコCM出演、ミュージカル「ピーターパン」出演などが約束された。今後の夢と目標を聞かれると「みんなを笑顔にできるタレントになりたい」。初心を忘れず、スターを目指す。【三須一紀】

 ◆菅野莉奈(かんの・りな)1999年(平11)4月5日、山形県生まれ。現在中学1年生。吹奏楽部に所属し、クラリネットを担当。月1回の家族旅行が楽しみで、最近は徳島県を訪れた。得意科目は数学。家族は両親、弟。158センチ、血液型O。