女優前田敦子(22)が時代劇ドラマに初主演することが17日、分かった。NHK連続ドラマ「あさきゆめみし

 ~八百屋お七異聞」(9月19日スタート、木曜午後8時)でヒロインお七を演じる。時代劇はAKB48時代、10年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」に出演したが、主演は初挑戦。収録は既に開始しており、かつらと着物姿で奮闘中だ。

 本格女優を目指す前田が時代劇初主演作品で、歌舞伎などにも受け継がれてきた江戸時代を代表する純愛物語に挑む。5代将軍徳川綱吉の時代に、恋人に会いたい一心で、放火事件を起こして火刑に処された「八百屋お七」の悲恋物語が題材。NHK小松昌代制作統括は配役について「前田さんのひたすらまっすぐで強い瞳が真っ先に浮かびました」と話す。さらに「演じたいと体中が言っているような情熱も感じた。女性として変わっていくさまを、今まで見たことがない前田さんで見てみたいと思った」という。

 熱烈な出演依頼に応じた前田はヒロインお七について「自分の気持ちに素直に生きている女の子」と捉えており、「そのいちずな思いを真っすぐに表現できたらいいなと思います」と演技プランを練っている。既に収録は始まっているが、事前に当時の所作や着付けなども、個人的に学んできたという。関係者は「学ぶことが多く、新鮮な毎日のようです」と話す。

 脚本は、NHK連続テレビ小説「澪つくし」や大河ドラマ「独眼竜政宗」など国民的作品を手掛けたジェームス三木氏(78)。悲恋の相手役は俳優池松壮亮(23)が務める。前田の初主演映画「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」で共演も経験している。両親役は中村雅俊(62)竹下景子(59)。

 AKB48卒業後、主演映画「クロユリ団地」が興行収入10億円を突破するなど女優としてヒット作にも恵まれてきた。周囲に「純愛ものもやってみたいなぁ」と話していた前田が、時代劇という設定の中で、悲恋をどのように表現するのか注目される。【瀬津真也】

 ◆八百屋お七

 大火で避難した寺で恋仲になった男にもう1度会いたいと願うあまり、自宅を放火してしまうお七の物語。江戸時代の浄瑠璃作者・俳諧師の井原西鶴の浮世草子「好色五人女」で取り上げられて、認知度が高まった。歌舞伎や文楽などの文芸や演芸で受け継がれてきた。大火で駒込の八百屋「八百源」は類焼。1人娘のお七は、大乗寺にあずけられたが、寺の小姓の吉三に一目ぼれする。しかし、八百源が再建されると自宅に戻り、父は縁談まで用意していた。ドラマは全10回。