嵐が21日、東京・国立競技場2日間公演をスタートさせた。年間1組しか許可されない同所公演を6年連続で開催してきたが、20年東京五輪開催決定で、来夏にも改修が開始。今後数年間は、公演開催が不可能になる。昨年に続き、今年もファンからのリクエストを中心に選曲。この日は7万人が見守る中、ファンへの感謝を込めて、華々しい“国立卒業式”を行った。

 フィナーレで夜空を彩るように無数の白い風船が舞う中、二宮和也(30)が感慨深げな表情を見せた。「歌っている時、泣けてきて。最後だなって」。昨年よりも打ち合わせを増やし、入念に準備を進めた。冒頭から「truth」などダンサブルなヒットナンバーを次々と披露。序盤で松本潤(30)が思わず「すっげー踊ってるよね」と言うほどトップギアで飛ばした。

 昨年に続き、ファンからのリクエストを中心に選曲した「嵐(アラ)フェス」として開催。メンバーがそれぞれプロデュースしたコーナーでは、個性をちりばめた。ラップ担当、櫻井翔(31)のコーナーでは5人全員でラップに挑戦。二宮のコーナーでは、二宮以外の4人が着ぐるみ姿でダンサーを務めた。

 国立競技場公演の初開催は08年。6年連続でステージに立つ中、思い出を積み重ねてきた。櫻井は「08年は最初で最後だと思っていたので、写真を撮りまくってました」。相葉雅紀(30)は「ズボンのお股がパックリ割れたりしたね」。「最初は分からなかったけど、どんどん(国立への)思いが強くなってるよね」。大野智(32)の言葉には、全員が強くうなずいた。

 東京五輪に向けて国立競技場は来年7月にも改修に入り、嵐の同所公演は今年でいったん終止符を打つ。櫻井がしみじみと言った。「国立競技場がテレビで映ると、ホームグラウンドが映っているようで妙に誇らしかった。お世話になったなじみ深い場所。愛着の分、最後になると思うとさみしいですね」。二宮が続いた。「卒業式だよね。そう考えると感慨深いよね」。

 嵐は来年15周年。夏の恒例行事はいったん終了するが、松本は「来年はライブなのか分からないけど、何か考えていけたら」。相葉は「ここが新しくなっても、みんなで楽しい時間を過ごしたい。個人的にはすごく思います」。二宮も「私もそう思っています」と同調し、再び同所公演ができる日が来るのを願った。

 ライブは約3時間。五輪で活躍した選手たちも聖地でのライブを楽しんだ。初公演以来の聖火も点火。松本が充実感にあふれた表情で言った。「きれいだね、聖火」。5人は目に焼き付けるように、会場を照らす炎をじっと見つめた。【近藤由美子】