フジテレビは27日、フジ・メディア・ホールディングスの連結子会社「ストーリア」の資金計約1億円を私的に流用したとして、26日付で男性社員(48)を懲戒解雇処分にしたと発表した。男性はフジテレビの社員時代にプロデューサーとして「若者のすべて」「ロングバケーション」などのヒットドラマを手掛けた。

 同局によると、男性は11年11月ごろから、出向して社長を務めていた「ストーリア」の銀行口座から自分の銀行口座に計約1億円を不正送金していた。男性が19日、弁済が不可能になったと判断して「ストーリア」の監査役に不正行為を伝え、問題が発覚した。男性は「個人の投資に使った。反省している」と話しているという。

 「ストーリア」はブライダル事業を手掛ける会社で、男性が社内ベンチャーで企画・立案し、08年7月に設立。20日付で社長を辞任した。同社は今後、刑事告訴も検討するという。フジテレビは「今回の事態を重視し、再発防止の徹底に努める」としている。

 男性はスポーツ部を経て、第1制作部(現ドラマ制作センター)のプロデューサーとなり、94年「若者のすべて」を始め、「ロングバケーション」「成田離婚」「お見合い結婚」「ウエディングプランナー」「プライド」など数多くのヒットドラマを手掛けた。ドラマ畑出身の亀山千広社長、大多亮常務に続く、敏腕プロデューサーとして知られていた。