覚せい剤取締法違反(所持、使用)などの罪に問われた歌手ASKA(本名・宮崎重明)被告(56)の初公判が28日、東京地裁で行われた。

 裁判長には自らの職業を「歌手」とはっきり答えたASKA被告だが、芸能界早期復帰への道のりは、現状ではかなり厳しいといえそうだ。

 かつては、芸能人が薬物に手を染めても、ある程度の期間謹慎する“みそぎ”が済めば、復帰できるおおらかさがあった。だが、昨今は薬物に対する世間の目は厳しい。企業側のコンプライアンス(法令順守)意識の高まりもある。テレビは近年、有罪判決を受けた芸能人を執行猶予期間が明けても番組に起用しない傾向が強い。スポンサーや視聴者の意向が大きく反映している。大手レコード会社幹部も「株主に合理的な説明ができない」と話す。

 ASKA被告の場合、薬物を入手するため、暴力団など非合法集団と交際していたことも見逃せない。国を挙げて「反薬物キャンペーン」「反暴力団キャンペーン」に力を注いでいる中で、長期にわたって暴力団の資金源になっていた事実は重い。20年前から薬物を使用し、4年前からは覚せい剤にも手を染めたと裁判の中で認めている。依存度が強く、常習性が顕著とみられても仕方がない。

 薬物に手を染める直前に、CHAGE

 and

 ASKAとして世に出した「SAY

 YES」「YAH

 YAH

 YAH」などの曲は20年以上たった今も色あせない光を放っている。だが、所属事務所との契約を解除され、大手レコード会社の流通網を使うことも絶望的なASKA被告が、かつてのような輝きを再び放つことは容易ではない。この日の初公判でも、今後の音楽活動について「今は何も考えられない。治療に専念したい」と明言しなかった。