「よこはま・たそがれ」などで知られる作詞家で直木賞作家の山口洋子(やまぐち・ようこ)さんが6日午前1時6分、呼吸不全のため、都内の病院で死去していたことが15日、分かった。77歳だった。

 山口さんの訃報を受け、五木ひろしがこの日の深夜にコメントを発表した。「『五木ひろし』が今日あるのは、作詞家でありプロデューサーだった山口さんとの出会いがすべてです。そうでなければ『五木ひろし』は存在しません」。

 70年、五木が山口さんが審査員を務めた日本テレビ系「全日本歌謡選手権」に、無名歌手の三谷謙として出演。山口さんは、22歳だった三谷の才能、情熱にほれ込んだ。同番組で10週連続勝ち抜いた三谷の再デビューをプロデュース。翌71年に親交のあった作家五木寛之氏から名字を取り、「いいツキを拾おう」の意味も込め、「五木ひろし」と命名。「よこはま・たそがれ」を提供した。

 大恩人の山口さんの誕生日に、五木は毎年、欠かさずに花を贈ったといい、お礼状には花の写真とともに「いつも気に掛けてくれてありがとう」と書かれていたという。「お会いできなくても、それが元気な便りだったのです。今もショックでいっぱいです」。

 その上で「私の命ある限り、代表作と山口さんの教え、思いはずっと続いていきます。ありがとうございます。それしか見つからない」と故人をしのんだ。