第55回ブルーリボン賞が29日、東京映画記者会(日刊スポーツなど在京スポーツ7紙の映画担当記者で構成)から発表された。魅力の「笑顔」を封印して新境地を見せた広末涼子(32)が「鍵泥棒のメソッド」の演技で助演女優賞を初受賞した。授賞式は2月14日、東京・霞が関のイイノホールで行われる。

 広末は「まさか自分が賞をいただけるなんて」と受賞を驚いた。「泣かせたり感動させたりする方がふさわしいと漠然と思ってましたから」。

 「鍵泥棒-」では、とにかく笑顔を封印した。泣いたり、わめいたり、大喜びするキャラクターではなかった。「笑わない、反応しないということは自分の本質と対極」と撮影中は戸惑ったが、共演の堺雅人、香川照之から「新境地になる」とアドバイスされた。

 14歳でデビュー以降、人気アイドルとして、天真らんまんで、かわいらしく、明るいイメージを求められることが多かった。「『かわいいからOKで~す』って言われたこともあった。本当にいいの?

 と思ったこともあった」という。

 今回は求められるものが違ってきたと実感した。内田けんじ監督に「もっといろんな表情を見たい」と言われ、何十回も撮り直しを重ねた。実は10代のころから周囲からは「30代からが勝負だよ」と言われていたという。「これからは、ずるい、汚い、暗い、濁った部分も表現していきたい」と話す。

 一昨年に再婚、昨年は次男を出産。「家庭と女優のバランスをとるのが大変で、1日24時間じゃ足りないくらいでした」。受賞がご褒美になった。「家族がみんなすごく喜んでくれて、母に『ちゃんと実るんだね』と言ってもらいました」と笑った。【小林千穂】

 ◆ブルーリボン賞

 50年創設。当初一般紙が主催していたが61年脱退。67~74年の中断期間を経て東京映画記者会主催で75年再スタート。名前の由来は「青空のもとで取材した記者が選出する」ことから。賞状に青色のリボンが巻かれ、副賞はモンブランの万年筆。ペンは記者の象徴であるため。