宇都宮市の宇都宮城址公園で23日午前11時40分ごろ、爆発があり、男の焼死体が見つかった。巻き添えの2人が大けが、1人が軽傷を負った。遺体から遺書が見つかり、宇都宮中央署は男が爆発物を使って自殺を図ったとみて、殺人未遂容疑で調べている。遺体は同市内の元自衛官、栗原敏勝容疑者(72)。この約10分前には近くの駐車場で、爆発音とともに容疑者の車など数台が燃える火災があり、県警が関連を調べている。

 全焼した栗原容疑者の自宅がある宇都宮市針ケ谷町には、多くの報道陣が集まり、夜間まで騒然とした雰囲気が漂った。火災の影響で、近隣の工場や住宅の窓ガラスが割れたり、駐車中の車が焼けるなどの被害があった。同容疑者が出火直前に家を出たという目撃情報もある。

 住民の話によると、栗原容疑者は妻と三女との3人暮らしだったが、5年前に家族2人が別居。1人暮らしを続けていたという。陸上自衛隊ではパイロットを志す学生に気象学を教えていたこともあったといい、自衛官を退官後はハイヤーの運転手や警備員などをしていたという。パソコンの扱いに慣れていたほか、最近は福祉関係にも興味を持ち、精神障害者を支援する活動もしていた。

 近隣に住む57歳女性は、前日22日に容疑者と1時間ほど、お茶を飲みながら話したという。「世間話をしただけで、自殺を考えているような様子はなかった。まじめにあいさつするし、温厚な方。こんなことになってショックです」。栗原容疑者は火災の危険性を避けるため、自宅の風呂を沸かさず、銭湯を利用していたという。